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「あ、」
「えっ」
明日は土曜日だから思う存分寝れるし…！と、張り切って残業をした金曜日。聞きなれた声がする方を見ると北斗くんの姿。そうじゃん。会社近くのコンビニってことはほくとくん家の最寄りコンビニってことじゃん。そりゃ遭遇しても仕方ない。
「この時間までなにしてたの」
「あ、えっと、また残業…」
紗佳め……！あんなこと言うから意識しちゃうじゃん！私ってどんな感じでほくとくんと話してた？目見て話せないし、言葉が上手く出てこない。
「働きすぎるとまた倒れるよ」
「部長にそのまま言っておく」
「それ、買うの？」
「あ、うん。なんか可愛いなって」
スイーツコーナーにいたキャラクターモチーフのデザートに手を伸ばしていたことを思い出して手を離す。
「あとは何買うの」
「お茶買おっかなって思って」
「これ貸して」
手に持っていたお茶と選びかけていたデザートを手に取り、レジに向かうほくとくん。すぐに会計を済ませて手に渡された。
「これ食べながらさ、ちょっと付き合ってよ」
〜〜〜
「お邪魔します……」
「今日はただいまじゃないのね」
「ほら、なんだかんだ日が空いちゃったじゃん…？」
成り行きでほくとくん家に来てしまった。最後にほくとくん家に来たの、いつだっけ。相変わらずシンプルなのにオシャレなお部屋で、風邪の時にほくとくんを招いた私の部屋の乱雑さが恥ずかしくなる。
「なぁんで緊張してるのよ。ソファ座ってて」
「え、あっうん」
立ったまま固まっていた体を動かしてソファへ移動すると、コートをハンガーにかけてほくとくんも後から隣に座る。
「あのコンビニでAに会うの初めてだね」
「確かに。割と利用してたのに入社してから1回も会ったこと無かったかも」
「んね。奇跡だな〜って思って。…だからこの奇跡に縋りたいんだけどさ」
「うん？」
隣に座るほくとくんが体の向きを直して、私の目を見つめる。緊張してるの、ほくとくんの方じゃんか。ちょっとだけピンとした空気が漂って、私もほくとくんの目を逸らすことができない。
小さく息を吸って、柔らかい表情になるほくとくん。…そんな甘い顔されたら意識せずにはいられないよ。
「Aのこと、ずっと好きでした」
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作者名：ふわり | 作成日時：2023年3月10日 19時
