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｢んん〜｣
いつの間にか寝ていたようで、キッチンから漂う優しくて温かい香りで目を覚ました。
｢あ、Aおきた？ちょうどおかゆ出来たよ｣
｢ごめんね、寝てたみたい。ほくとくんありがとう｣
｢立たなくて大丈夫だよ。そっち持っていくね｣
『まだあついかも』と言いながら運ばれてきたおぼんには、美味しそうなたまご粥が乗っていた。湯気が頬にあたってそれだけでほっとする。
｢わあ、美味しそう。でも全部食べれないかも…ごめんね｣
｢食べられる分だけ食べな。胃に少し食べ物入れて薬飲も？｣
｢うん、ありがとう｣
ん？？私のお粥だよね？
スプーンを持ってお粥をすくってふーふーしてるほくとくん。その様子をじっと見つめていると、『ん』と言ってスプーンが口元に近づく。やっとそこでぼーっとしていた頭が働いて、ほくとくんは食べさせてくれようとしていることに気づいた。
｢いやいや！自分で食べられるよ！｣
｢はい、あーんして｣
そんなまっすぐな瞳で見つめられたら素直に言うこと聞いちゃうじゃんか。口を開けてほくとくん特製たまご粥を食べると、ほんとにおいしくてほっぺが緩くなる。
｢ふふ、おいし｣
｢ならよかった｣
私の反応を見て安心したように笑うほくとくん。なんだかまた心臓のあたりがふわふわする感覚だ。
｢え？｣
｢ん？｣
不意にほくとくんの頭に私の手が伸びて、撫でていたみたい。なんかほくとくんって犬みたいで可愛いなあ。無意識にヨシヨシしたくなっちゃった。
｢ほくとくん、ありがとう。ヨシヨシ｣
｢犬ポジなのね、俺｣
ちょっとだけ嬉しそうに笑うほくとくんにブンブン振ってるしっぽが見えてきた。あぁ、だめだ。具合悪くて頭が上手く回らない。
｢ごちそうさまでした。あったかくなったら眠くなった〜｣
｢どういたしまして。んじゃ俺は洗い物して帰るね。仕事頑張りすぎなのよ、ゆっくり休んで｣
寝たらもうほくとくん居ないのか。
それはちょっと寂しいかも。
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作者名：ふわり | 作成日時：2023年3月10日 19時
