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「んも〜〜〜A出ておいでってば〜」
「いや…うっ、、まだ吐ける、気持ち悪……っ」
さっきの私の自信はどこへやら。紗佳の忠告を無視して飲んだ結果、トイレから10分出られない未来になりました。
「全然先帰ってて〜…さすがに彼氏さんに悪い……うぇ……」
「私のことはいいから、こんな状態のA不安で置いていけないわ」
「う〜〜〜あと5分で決着を…うっ……」
お酒は飲むのが好きだけど結局3回に1回のペースでトイレと仲良くなっちゃうんだよな、私。お酒の致死量突破したくなる時ってあるよね。仕方ないね。
吐いたら楽になれるから電車に乗る前に吐いちゃいたい…。
「井上〜水買ってきたよ。そろそろ閉店だし一旦出ておいで」
ほくとくん……久しぶりの再会なのに申し訳ないです……。
「ごめんね…一旦外で待ってて〜。ぅ……」
〜〜〜
「お待たせしました〜って、あれ？紗佳は？」
少しだけ気分が軽くなったうちにトイレを後にしてお店の外に出ると、そこに紗佳の姿はなくてほくとくんが壁沿いに立って待っていた。
「佐々木に終電聞いたらギリギリのラインを攻めてたから、先に帰ってもらったよ」
そんな時間経ってた…？と思って時計を見ると、結局トイレから出るまで20分ほど経っていたことに気づいた。
「うわぁ紗佳に謝っとこ。ほくとくんも待たせちゃってごめんね、ありがとう！私は酔い覚ましに歩いて帰ろうかな」
冬から春に変わろうとする季節が23時を回った夜も心地よい風を吹かせていた。
「いや、なんのために俺が残ったと思ってるのよ。家まで送るよ」
あぁ、そうだった。私と紗佳が潰れても面倒見のいいお兄ちゃんみたいに最後までお世話してくれるほくとくんの優しさを思い出した。
「さっきのトイレ立てこもりでだいぶ軽くなったから大丈夫だよ。ありがとね！んじゃまた連絡するね”ッッッ」
歩き出した瞬間、足がもつれてグキって音が聞こえそうなくらい右足首を捻った。右足首一点に全体重がかかって本当に痛い。待て待て、本当に痛い。地面に座り込んで動けない。痛い痛い。あ、ちょっと気緩んだら泣きそうなくらい痛い。
「も〜〜〜なにやってんのよ」
「ごめん今触らないで〜〜〜！！！！」
痛みが引くタイミングを待ちたくて手を差し伸べてくれたほくとくんに両手でストップのポーズをとって拒否する。
もしかして骨折したの？？？これ。
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作者名：ふわり | 作成日時：2023年3月10日 19時
