ほろよいリスタート (ページ19)

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｢ほ、くとくん、飲みすぎだってば｣
｢んー？｣
｢…泡ついちゃうよ｣
｢んー、｣

いつもよりふにゃふにゃしたほくとくんとの接し方、私の脳内で検索してみてもヒットするわけなんてなくて。ちらっと後ろを振り返ると、瞼が重くなっていて目が閉じそうなほくとくんのドアップがみえてすぐに視線を前に向き直した。

｢A？｣
｢な、なに？｣
｢また俺ん家来る？｣
｢うん、また来るね｣
｢…ん、じゃあ駅まで送る｣

『上着取ってくる』と言い残して、私から離れていったほくとくん。1度大きく息を吐いてまだばくばくしてる心臓を落ち着かせようとするけれど、なかなか難しいらしい。時計を見て慌てて止まっていた手を動かして、すぐに身支度をしてほくとくんと一緒に家を出た。

ほくとくん家からそう遠くない最寄り駅にはすぐについて、改札前で解散した。変に緊張してしまって2人並んで駅に向かう道中何話したか覚えてないし、最後までちゃんと目を見れずにばいばいしちゃったな…。そう思いながら電車に乗って発車した直後に鳴る通知音。

『気をつけてね』と『またきてね』の文字。

ほくとくんの名前を見るだけでさっきの出来事が蘇ってきて、顔が熱くなる。また次に会う時、いつも通りの私で会えるのでしょうか…。