ほろよいリスタート (ページ13)

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お店に入ると窓と並行に設置された個室のカウンター席に通された。店内は照明が落ち着いていて近くにいないと人の表情がはっきり見えないくらいの明るさで、隣に座るほくとくんの表情もぼんやりとしか見えない。

｢…なんか、緊張するね｣
｢俺も、初めての場所だから緊張するかも｣

自然と小声になる私たち。カウンター越しに薄いカーテンがかかった大きな窓を見ていると、私たちが着席したことを確認してカーテンが開き始めた。

｢わぁ…、きれい……｣

カーテンが開くとそこにはキラキラな夜景が一面に広がっていて、夜景の光が私たちを照らしてくれた。
夜景に見とれてうっとりしちゃうって表現、大袈裟だなぁって思っていたけれど、きれいすぎて本当にうっとりしちゃう。

目の前の景色に見惚れていると

｢北斗？｣

ほくとくんを呼ぶ店員さんの声が聞こえた。

｢樹、今日はありがとね｣
｢どういたしまして。この子がAちゃん？｣

私の名前知ってるってことはお友達なのかな。

｢そう。井上Aちゃん｣
｢はじめまして｣
｢Aちゃんはじめまして。北斗の友人の田中樹です。ゆっくりしていってね｣
｢ありがとうございます｣

そう言うと個室を仕切る薄いカーテンをしめていった。さっきの人、どこかで見覚えあるような…と思っていたら『大学3年の文化祭でさ、中央ステージでラップバトルしてたの見てた？それの優勝者だよ』と言われて納得。かなり女子のギャラリーが多かったから気になってステージ覗いたっけ。