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「は〜っ、びっくりした」
「俺も…」
男の人はほくとくんの姿を確認すると、すぐに私の手を離して人ごみの中に消えていった。ほくとくんを見ると前髪が少し風で乱れていて、上がった息を整えていて。走って止めに来てくれたことが伝わった。
「上手く撒けなくてごめんね。あれは無視が1番良かったタイプの声かけだったね」
冷静に自分の行動を分析するけど、今もまだ心臓はばくばくしてるしほくとくんと繋いだままの右手があつい。
「A、大丈夫？嫌なことされてない？」
「うん、大丈夫だよ。助けてくれてありがとね」
「間に合って良かった。それじゃあ行こっか」
「道案内、お願いしま〜す」
あれれ、手は繋いだままの出発なのね。
〜〜〜
「待って、ほくとくんここって…」
ほくとくんの『行きたい場所』はテレビや雑誌、SNSでも取り上げられている夜景が素敵なレストランだったみたい。
「1日4組限定の完全予約制で全然予約取れないところなんだけど、今日のお昼サイト見てたらキャンセル拾えた」
『もう絶対こんなチャンスない！って思ってね』と言って、ワクワクした様子でそのまま私の手を引いて入店しようとするほくとくん。
「ま、待って、素敵なお店すぎて私には場違いかも」
高級感のあるお店の佇まいに、自分の身なりが釣り合っているのか不安になって急に恥ずかしくなってしまう。
「大丈夫だよ。A、ちゃんと可愛いから」
ほくとくんが私の目を真っ直ぐに見つめて急にそんなことを言うから、ボッ！って音が聞こえそうなくらい顔が赤くなるのを感じた。
不意打ちすぎるよ、
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作者名：ふわり | 作成日時：2023年3月10日 19時
