立端な彼とワケあり少女---Myuto.M---

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-美勇人-



樹から電話があった


Aの居場所を…


きっと樹は聖くんに聞いたんだろう、直接



ホテルなんて、そんな場所…


って思ったけど、たぶん今 一番傷ついてるのは樹なんだと思う



大好きなお兄ちゃんからそんなこと聞きたくなかったはずだ









樹に言われた通り、5階建てのホテルを探し回る





美｢…あった。｣



フロントで何か言われた気がしたけど 無視してエレベーターに乗る




最上階に着いて扉が開くと



聖｢あれ？思ったより早かったな。｣



怒りが込み上げた俺は 黙って聖くんの胸ぐらを掴み、壁に押さえつけた



聖｢おいおい、暴力はやめようぜ。週刊誌モノだぞ？｣

美｢っ…Aは…｣

聖｢まだ部屋だ。一番奥。｣

美｢…樹のこと、傷つけないで下さい。｣



俺は胸ぐらを掴んでいた手を離し、Aがいるという部屋に急いだ






ノックしても返事はない



美｢…A？俺、美勇人。｣



名乗っても何の動きもない


ｶﾞﾁｬ


…開いてる？



美｢入るぞ。｣

美｢A？どこにいるんだよ。｣

｢嫌！来ないで！！｣



ベッドの上で震えるA


目も瞑って完全にシャットアウト



美｢A？俺だよ？美…｣

｢嫌っ…！！｣

美｢っぶね。｣



手元にあった枕を投げてきたA


たぶん俺だと認識もしてないだろう


相当なパニック状態だ



歩み寄る度、次々と手の届く範囲の物を投げてくる


枕…布団…スリッパ…


その程度ならよかった



メモ帳…灰皿…



美｢った…｣



小さめの灰皿は俺の顔を目掛けて飛んできた


腕で顔を守ったことで痛みが走る



けどここで痛がったのが間違いだった


少し前屈みになった時だ



美｢っ、｣


ｶﾞｼｬﾝ



俺の頭にグラスが当たって床に落ち、割れた



その音で目が覚めたのかAは俺を見る


俺が抱きしめると



｢やだ…来ないで…。｣

美｢俺は離れない。｣

｢嫌…｣

美｢大丈夫だから。｣

｢…やだ……怖い…。｣

美｢俺がいる。｣



幸い、Aには何も無かったようだった





少し落ち着いたAと一緒に俺はホテルをあとにし、家に帰った



美｢…もう寝てろ？｣

｢…ぇ。｣

美｢ごめん。樹のとこ行ってくる。｣

｢…。｣

美｢なるべく早く帰るつもりだけど…遅くなったらごめん。｣

｢うん。｣

美｢誰か来ても絶対に…｣

｢早く行って。樹を助けてあげて…っ｣

美｢…ありがと。｣



Aに感謝して樹の元へ駆け出した

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