立端な彼とワケあり少女---Myuto.M---

12 ページ12

-A-



あれからというもの、

森田くんはこっち方面でのバックにつく時は必ず家に1回は来たし

東京でやるコンサートならチケットが当たった時は私がお母さんと行って、その後会ったり

昔から仲良しだったかのように会っていた



お母さんも最初みたいにイケメンがどうのこうのとか言わなくなった

私も学校の友達感覚で接するようになった





長期休暇に入って、
今日、明日は同じ学校の子と 東京観光とテーマパークに…


コンサートには来てもあちこちぶらぶらと街を歩いたことはなかったから2人とも新鮮な気分で楽しんでた



友｢こうやって歩いてたらさ…ねぇ？｣

｢ねぇってなに？笑｣

友｢アイドルに遭遇〜みたいなのないかなぁぁ｣

｢ないない。笑 確率低すぎるでしょ。笑｣

友｢そうだよね。笑｣



よくSNSとかで遭遇した！って人いるけど、そんな簡単にいるはず………


右前方のお店から出てきたシルエットに見覚えがある…


いや、でも髪の毛黒かったし…

帽子かぶってて顔はよく見えなかった

…でも、知ってる

あのシルエット、歩き方、

あと…赤と青の靴下



友｢アイドル会いたいなぁー。｣

｢…｣

友｢そう思わない？｣



なんか横で言ってるけど、耳には全然入ってこない



友｢A〜？聞いてる？｣

｢……美勇人！！｣

友｢え？｣



すると前を歩いてた見覚えのあるシルエットが振り向いた



美｢あ……っと…。｣



そうだ、しまった…



友｢…ぇぇえええええ！？｣



隣にいたのは、ただのアイドル好きな子で

私たちのことを知ってるはずもない


2人きりな訳じゃないのに私が呼んでしまった…


たぶん向こうも話しかけようとしてくれた

けど隣にいるのは知らない子



つまり、今はただのファンである一般人とアイドルで、“友達”の関係ではない



｢…すみません。あの、握手…｣

美｢ぇっ…｣



男の人と握手は今でも出来ない

もちろん手は震えてる



友｢あ、あの！私、美勇人くんのファンなんです！｣



えー！初知り笑



友｢握手してください！｣

美｢ありがとう、これからも応援よろしくね。｣



私が握手をしようとした手は友達の方に流れた


夢中になってる友達から目をそらした美勇人は
私が空気を読んで誤魔化すために握手しようとしたのをわかってか

無理すんな

と言わんばかりの表情で首を小さく振った



頑張ってくださいと行って離れたあと

私達はまた観光に戻ったけど、友達が浮かれてて疲れたのは秘密

13→←11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す