今日も彼女は笑顔を作る 【HQ】

暖かい。 ページ4

『片付けるぞー』









澤村の声で、皆一斉に動き出した









私達マネージャーも、選手の手伝いをしに行く









『篠原先輩！
これはどこに置いておけばいいですか？』

1年生の日向君がそう言ってきた









「あ、それは私が貰うよ」

そう言って私は日向君から受け取った









『ありがとうございます！』

ペコリ、と一礼した日向君はネットの片付けに向かって言った









.









外は真っ暗



練習が終わり皆それぞれ帰ろうとしている









すると、









『よーし、今日は肉まん奢ってやるぞー』

と気前のいい澤村が言った









たちまち

『本当ですか！？』

『あざっす！』

という声が外に響いた









私は喜んでいる皆の横をスッと通り抜けて帰り道を歩いて行こうとした









が、









『あれ？篠原先輩、キャプテンが今日肉まん奢ってくれるそうですよ？』

と日向君が帰ろうとしていた私を引き止めた









『いらないんですか？』

と山口君も聞いてくる









「あー、うん
私は今日ちょっと急いでるから」









『あ、なら…
ちょっと待ってろ』

と話を聞いていた澤村が急いで肉まんが売っているお店に走っていった









本当は、用事なんてない









ただ、早く自分の部屋にこもりたいだけ。









大人しく待っていると









『ほら！』

と帰ってきた澤村が私に肉まんが１つ入った袋を渡してきた









『お前、いつも先にいなくなってるから1度も食べてないだろ？』









確かに、私はいつもそそくさと帰っている









『たまには食え！上手いから！』

澤村はニッっとした笑顔で言った









「…ありがと」









私はその袋を受け取った









『おう！じゃーな！』

そう言って澤村は手を振ってくれた









その声に気づいた人が

『A先輩！お疲れ様でございますです！』

『さよーなら！』

と言ってくれた









あぁ、嫌だ









面倒くさい、人間関係なんて、









保証のない愛なんて、友情なんて



感じただけ無駄だ









あぁ、苦しい









.









…澤村に貰った肉まんは、とても暖かかった

母の優しさ。→←ある程度の仲。

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