今日も彼女は笑顔を作る 【HQ】

ゆめ。 ページ23

菅原の前で沢山泣いて、お母さんに紅茶をつくってもらった日の夜、私は久々に夢を見た。









とてもとても、嫌な夢。

思い出したくもない、嫌な出来事。


















『ほら、あの子
福田さん家の子よ』

『あぁ、あの浮気して出ていった福田さん？
家族関係は良好に見えたのにねぇ、』

『かわいそうねぇ、まだ娘さん小さいのに』









かわいそう。

私が小さい頃から言われてきた言葉。









別に、私はかわいそうな子(・・・・・・・)じゃない。









私はお母さんがいれば幸せなのに。









あなた達が思い描く“幸せ”と
私の思い描く“幸せ”を









一緒に、しないでほしい。





























『ずっと可愛いなって思ってたんだ
俺と...付き合ってくれない？』









別に、好きでもなかったし。

人の気持ちなんて、いつ変わるか分からないし。









「ごめんなさい」









だから、断ったのに。





ちゃんと、断ったのに。









『ねぇ、何で私の彼氏に手だしてるの？！
私達友達じゃなかったの！？
祐也(ゆうや)が言ってたの...！
Aが寄ってきたんだって！』









...知らないよ、そんなの。









『友達の彼氏取ろうとするなんてサイテー』

『マジでありえない』












昨日まで仲良くしてた子も皆、



















一瞬にして、消える。













誰が善で誰が悪かなんて

この人達には関係ない。









ただ、“被害者”っぽい人のところへ助けに行って

自分は“良い人”という優越感に浸っていたいだけ。









だから、









『A、本当にごめんね...』

『まさかうちら祐也に騙されてたなんてね...
Aは何もしてなかったのに』

『祐也とはもう別れたから気にしないでね？
だから、これからも友達でいたいんだけど...やっぱ、ダメかな...、』









私の身の潔白が証明されて

“加害者”と“被害者”の立場が逆転すると









今度は“被害者”である私のところへ寄ってきて

やっぱり自分は“良い人”という優越感浸りたがる。









いとも簡単に崩れる“友情”や“愛情”なんて









私はいらない。









「うん、また友達に戻りたいな」



















......この時の私は、
どんな顔をして言ったんだっけ。

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