今日も彼女は笑顔を作る 【HQ】

夜中。 ページ19

ｶﾁｯ...ｶﾁｯ...









時計の…音…？









その音で私の目は覚めた。









重たい瞼をパチパチと動かす。



…真っ暗な部屋。

…静かに刻まれている時計の音。

…だるい体。









あれ、私...









...あ......、









段々と思考も再開してきて、自分の記憶を辿っていく。









…私、菅原に送ってもらって...

泣いちゃって...それで...









...覚えているのはここまでだ。









私あれからどうしたんだろ…、









ふと時計を見てみると、針は2時40分頃を指している。









とりあえず、服を着替えて歯磨きをしてこよう。









重い体をなんとか起き上がらせる。









..ん...？









布団の下の方に、違和感を感じた。









目をやると、そこには仕事着のままのお母さんの姿があった。









「おかあさっ...」









ビックリしてつい大きな声が出てしまう









『ん...』









私の声に反応したのかお母さんの体はぴくりと揺れた。









『...あれ？A？目が覚めたの...？』









目を擦りながら言うお母さん









「う、うん...」









ふと横を見ると、体温計やタオル、冷えピタなどがあった。









多分お母さんは、仕事から帰ってきて休む暇もなく私の看病をしてくれていたんだ。









...きっと、仕事で疲れていたのに。









私のせいで...









「お母さん、ごめんなさい...」









迷惑かけて、ごめんなさい……。









『......A、着替えなさい。』









お母さんは私が言った言葉には触れなかった。

その代わり、優しい笑顔でそう言った。









「…うん」









『じゃあお母さん、台所にいるわね
着替えたらいらっしゃい』









.









私はだるくて重い体を動かし、着替え始めた。

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