今日も彼女は笑顔を作る 【HQ】

彼女の本当の姿。 ページ18

*菅原side*









谷地さんの状態を聞き、一安心して帰り道を歩いていた時、及川の背中に乗っている篠原の姿を見つけた。









どうしたんだ？

という疑問と同時に、

俺の体は動いた。









話を聞くと、具合が悪くて歩けなくなっていた篠原ところに、偶然及川が通りかかったとか。









「…体調悪くなったのって、いつから？」









『部活中…』









じゃあ、無理しながらもマネ業を頑張ってたのか？









…顔色を見れば具合が悪いって事くらい俺にだって分かれたはずだろ、









谷地さんの事でいっぱいいっぱいだったから、なんて言い訳は通じない。









「それなら、部活中に言えばよかったじゃん。
そんなんになるまで何で言わなかったわけ？」









気づいてあげられなかった自分に対しての怒りを、トゲのある言葉に変えて篠原にぶつけてしまった。









篠原は、悪くないのに...









...『ごめんなさい』と俺に謝った。









.









篠原は家の前に着いたというのに、一向と中に入ろうとしない。









どこか、様子が変なような気がした。









...だから、篠原がやっと家の中に入った後も外で動かずにいた。








........









少しした頃にドア越しに聞こえてきた泣き声。









あぁ、やっぱり。









いつもと、違う。









いつもの篠原は、





自分と他人の間にとても分厚い壁を作って

ドアにはちゃんと鍵をしめて





誰1人として自分の中に入らせようとしない。









いつも、全部1人で抱え込む。









…でも今日は、少しだけ他人である俺に頼ってくれているような気がした。









インターホンを押すとすぐに開くドア

クシャクシャに涙で濡れた篠原の顔









とても、弱々しく見えた。









篠原には篠原なりの考えがあって、

その考えできっと毎日を過ごしている。









だから多分、自分の中に他人を入れたくないんだと思う。









でも、

今日だけは...









...俺は黙って篠原を抱き締めた。









すると途端に篠原は泣き出した。









まるで、小さな子供のように

すがりつくかのように

泣いていた。









.









...彼女の本当の姿が見れたような気がした。

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