今日も彼女は笑顔を作る 【HQ】

きっとこれは、風邪のせい。 ページ15

「…じゃあ、今日はありがとう」









私は菅原にそう言い、家の鍵を開けた。









...本当は、風邪を引いている時に一人でいるなんて心細い。

誰かの近くにいたい。









…なんて、

本音はそっと胸にしまった。









あぁ、何で風邪を引いただけでこんなに心も弱ってしまうのだろう









「...っ..」









バタン...と、ドアの閉まる音。









真っ暗な玄関。部屋。









「..うぅっ...」









怖い。

寂しい。

苦しい。









あぁ、いつから私はこんなにも弱くなってしまったのだろう









…きっと、風邪のせいだ。









こんな訳もわからない感情が襲ってくるのも、

もうあるはずの無い感情が浮かんでくるのも、









全部、風邪のせいだ。









「.....」









私は少しの間その場にうずくまっていた。









すると、









ピーンポーン

となる家のインターホン









「おか、さ...」









きっと、早く仕事が終わったんだ。

私はそう思った









今はもう、早くこの一人の空間から抜け出したい。









私は自分の顔が涙でクシャクシャになっているという事も忘れて勢いよく玄関のドアを開けた。









「え、...？」









するとそこには、









『やーっぱり泣いてた。』









「な、んで...」









10分ほど前に帰ったと思っていた菅原の姿があった

溢れ出てくる涙。→←【作者から。】

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