今日も彼女は笑顔を作る 【HQ】

もう少しだけ…。 ページ2

「ふぅ…」









誰もいなくなった教室で、私は一息ついた









静まり返る廊下の奥から、吹奏楽部の規則正しい音色が聞こえてくる









窓の外を見れば、野球部やサッカー部が掛け声をかけながら走っていた









そろそろ、行かなきゃな









そうは思っていても、体はずっと窓の外に見える夕日の方に向いていた









もう少しだけ、このままで


もう少しだけ、楽でいたい









もう少しだけ…









『…篠原？』









他人の声が聞こえ私の背中は反射的に伸びた









「……菅原」









声のした方に振り向くと、そこには同じ部活の菅原がいた









『何してるんだ？
もうすぐ部活始まるぞー』









「うん、分かった」









“先に行ってて”、と私が言う前に









『せっかくだし一緒に行くべ？』









と菅原がふにゃっとした笑顔でそう言った。









「…うん、」









私は結局、菅原と一緒に行く事を選択した

ある程度の仲。→←今日も私は笑顔を作る。

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