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駅ビルのCD屋さんに着くと、二人して真っ先に歌い手さんのニューアルバムに飛びついた。
「お、ちゃんと二枚あんじゃん」
「ていうか二枚しかないよ」
「仕方ねぇよ、大御所じゃねーんだから。」
「発売日なのにね〜」
どうやらそこまでメジャーでもない歌い手さんのアルバムは、そんなに枚数置いてないみたい。
そこがまたファンとして自分だけが知ってるみたいな気分になるんだけどね。笑
「Aも買うの?」
「買うっ!買いますともっ!」
「じゃあハイ、」
拓弥があたしのぶんのアルバムを手渡した。
貴重な初回限定盤はこれで売り切れ、だったりして。
「もしかして売り切れちゃったのかな?
少ないってことは」
「…だったらいいけどな」
……あ、笑った。
なんか久しぶりに拓弥の笑った顔を見た気分になる。
別に笑わないわけじゃないんだけど。
拓弥は学校だったりみんなといるときは、たいていふてぶてしくて意地悪だから。
でも二人きりのときは案外そうでもない。
だからムカつくと思いながらも仲良しでいられるんだけどね。
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そもそも…あたしと拓弥が仲良くなったのは一年のときに隣の席になったからだけじゃなくて
この歌い手さんが好きで意気投合したの。
ちょっとマイナーだから周りに知ってる人があんまりいなくて
語り合える相手というのはお互い貴重な存在だった。
しかも拓弥って普段クールぶってるくせに、好きな音楽のことになると熱くなるから
歌い手さんのこと喋ってると子供みたいでちょっと可愛い。笑
そういうとこもなんだかんだ憎めないポイントかなぁ…。
「……が俺的には好きなんだけど。
ってA聞いてんのか」
「ふふふ、聞いてるよー笑」
「なに笑ってんだよ」
「えへへ、よく喋るなと思って」
「はぁっ?うるせぇな//
お前に言われたくねーよ」
「ですよねー」
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作者名:ポプ子 | 作成日時:2017年10月9日 0時