恋トモ。 (ページ11)

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「……あ、ねぇ拓弥…」

と、言いかけたところで、拓弥の箸があたしの器に入ってきた。

そしてびろん～、とワカメをつまみ上げる。

「どーもありがと♡」

「俺はワカメ係か…」

「ふふ、そうだよ笑」

実はこれはいつものやりとり。

恥ずかしながらあたし、ワカメが超苦手で食べれないの。

だけどこの大好きなラーメンにはワカメが入ってて…

それをいつも拓弥がかわりに食べてくれる。

拓弥はワカメ大好きなんだって笑

そのわりには髪の毛細いなぁ…とか思うんだけど、

初めてここ来たときに拓弥に食べてもらってから、なんかもう習慣みたくなってる。

意外と面倒見良くて、優しいんだよね。

拓弥は頭いいから勉強だって文句言いながらも教えてくれるし、

帰り道だっていつも送ってくれるし。

だからもし拓弥に彼女とかできたら、こういう付き合いってなくなっちゃうのかな？

なんて思うと無性に寂しい。

まりちゃんによく言われるんだ。

「拓弥に彼女できたら今みたいには一緒にいられなくなるよ」って。

あまり想像つかないんだけど、いつかそんな日がくるのかな。

あたしはこれからもずっとこんなふうに仲良くしてられたらいいなって思うんだけど…

「…なに見てんだよ」

「いいえ～？」

「はやく食えよ」

「うん、食べてるよ」

拓弥がもし女の子だったら、こんなふうに悩んだりしないのにね。

男友達って難しい。

女友達にはない良さがあるんだけど、ふとした瞬間に壊れてしまいそうで…

「…なに考え事してんだよ。

またあの先輩のことか」

「ちっがうよ～」

「じゃあなんだよ、ボケッとしてんな」

「えー、もし拓弥に彼女ができたらワカメ食べてくれる人がいなくなるって思っただけ」

「……は？」

眉間にしわを寄せて、箸を止めた。

意味不明って顔をする拓弥。

そりゃそうだよね、またあたし拓弥に怒られるようなこと言ったかも。笑

「だったらワカメ抜き頼めば」

「ですよね」

「俺に彼女できたら嫌なの？…お前」

そうたずねる拓弥の顔は、意外にも真剣だった。

バカにしたような笑みを浮かべるでもなく、呆れてるようでもなく。

まっすぐにあたしをとらえる、真っ黒な瞳。

「うーん…べつに嫌ではないけど…」

「あっそ」

また急に不機嫌な顔をしてラーメンを食べ始めた。

今ので会話終了、みたいな勢いで。

本当に拓弥って、時々よくわからない。

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