◎隣にいてさえくれれば（3） ページ48
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kzh side
「……だから、ここ1ヶ月、どんどん体調悪くなっていったの？俺に、会えなくて、眠れなかったから？」
『……まあ、うん、恥ずかしい話だけど。そういうこと、だね』
でも、葛葉くんのせいとかじゃないから、俺が変に意地張ってたせいだから、って言うけど。俺が、俺のせいで、ってどうしても。思ってしまう。なのに。体調が左右されるくらい、俺の存在って大事だったのかよ、って嬉しくなってしまう自分が、憎たらしくて、殴りたい。
意地を張っていたのは、怯えていたのは、俺も同じなのに。むしろ、俺の方が。
「……ごめん、姫龍さん、」
『ふ。なんで葛葉くんがそんな顔するんだよ、謝んないで』
ああ、また。あなたは、少し困ったように眉を下げて、愛おしいものを見つめる目で、優しい声で。これで、俺が葛葉くんなしじゃ生きていけないってこと、分かってくれた？って。
俺は、どこまで、あなたのことを好きになればいいんすか。
「……姫龍さん、好き」
『うん。俺も好きだよ』
「……俺ばっかり好きで、苦しい、ってずっと思ってた、」
だけど、違った。苦しいのは、姫龍さんも一緒だった。それが知れただけで、もう。心が随分、軽くなった。軽くなった分だけ、柔らかな愛が、胸いっぱいに注がれて。
「姫龍さん、今日はうち来る、っすよね？」
『んー……来てほしい？』
「ッなんだよ当たり前のこと聞くなよ、」
『はは、可愛い。行くよ。なんなら一緒に住む？』
「えッ」
すれ違いも、行き違いも。本当にしんどくて、時間を巻き戻せたらと、何度も願ったけれど。こんなに、幸せな未来が待っていたなら、変に燻ったりせずに、はやく行けばよかった、なんて。周りの奴らの助けがあって、俺たちはようやく、心を通わせられたと、理解しているけれど。
俺は、俺たちは。臆病で、我儘だから。きっとこれから先も、何度もこういうこと、あるんだろうな。勝手にこんがらがって、遠回りして、周りにも迷惑かけて。
だけどその度に、心に留めておいた、今日のことを思い出したら。ほら、どうせあんな最高の未来が待ってるんだぞ、はやく仲直りしろよって。俺に向かって、堂々と言える。気持ちを言葉にする自信を、手に入れられる。
それから。
あなたが隣にいてさえくれれば、きっと。ああ、そんなこともあったな、って。苦しい過去も、恥ずかしい過ちも。笑い飛ばせる、思い出になるから。
END
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あんこ(プロフ) - もうこのお話を読むために日々頑張っていると言っても過言では無いくらい大好きです😇💗無理なさらない範囲で頑張ってください！！応援しています-`📢⋆ (3月24日 0時) (
レス) @page45 id: 176a047b16 (このIDを非表示/違反報告)
seeenraaa(プロフ) - 最近の生きる楽しみです😭💖えーるさんのお話大好きです！更新ありがとうございます🙇🏻♀️ (3月22日 0時) (レス) @page43 id: 42880fca27 (このIDを非表示/違反報告)
ゅ ぅ ゅ 。(プロフ) - はぁ~~~~……すき。 (3月9日 23時) (レス) @page18 id: 306f53c7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えーる | 作成日時：2024年3月5日 23時
