◎我儘(2) ページ33
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『ふたりとも、お疲れさま。いま帰り?』
すれ違いざま、姫龍さんはにこ、と微笑んで。俺の目を見つめながらそう言った。心臓がきゅ、となった。嬉しい、会えて嬉しい。だけど、あなたの隣に並ぶのが俺じゃないなんて、いやだ。そう思ってしまうこの気持ちはきっと、あなたの負担になってしまう、から。
「うん、そうなんですよね。結構はやく終わったし、ふたりでご飯行こうかって話してて。ね、葛葉」
「え?……ああ、おう」
姫龍さんに声をかけられているのに、俺が何も反応できないでいると、代わりに叶がそう返事をした。約束…してねえけど、なんて思いながら、一応合わせて。つかなんか、近くねえかコイツ。何で肩組んできた?
『……ふ。相変わらず仲良しだね。行こうか、セラ』
「あ、はい。おふたりとも、お疲れ様です」
「おつかれ〜」
姫龍さんは別に、何でもなかったように。ただいつも通り、柔らかく微笑んで去っていった。いや、そりゃそうだろ。何を期待してんだよ俺は。……ていうか、セラ、って呼ぶんだ。俺のことは、出会ってからずっとくん付けなのに。……いやだからなんだよ、いちいち気にしすぎだろ。
「……うーん。全くリアクションがない、訳じゃない?のかなー……いまいち分からない」
「あ?何の話してんのお前」
「うんうん。葛葉は何にも気にしなくていいからね〜」
「はあ?キモいぞ、お前」
「…………」
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あんこ(プロフ) - もうこのお話を読むために日々頑張っていると言っても過言では無いくらい大好きです😇💗無理なさらない範囲で頑張ってください!!応援しています-`📢⋆ (3月24日 0時) (レス) @page45 id: 176a047b16 (このIDを非表示/違反報告)
seeenraaa(プロフ) - 最近の生きる楽しみです😭💖えーるさんのお話大好きです!更新ありがとうございます🙇🏻♀️ (3月22日 0時) (レス) @page43 id: 42880fca27 (このIDを非表示/違反報告)
ゅ ぅ ゅ 。(プロフ) - はぁ~~~~……すき。 (3月9日 23時) (レス) @page18 id: 306f53c7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えーる | 作成日時:2024年3月5日 23時