出会い（2） ページ29
・
srp side
戻りたい。戻らなきゃ。何となくだけど、勘でしかないけど、この人とは深く関わってはいけないような、そんな気がしていたから。
『君は、あれか。雲雀んとこの』
「……あ、はい。どうも、初めまして。セラフ・ダズルガーデンです」
『ふ、いいって。そんなかしこまんなくて。あ、俺、羽艶姫龍』
知ってます。あなたを知らない人なんて、ここにはいないと思います。なんて言葉は、喉奥に引っ込めたまま、宜しくお願いします、とだけ。
ガコン。自販機から飲み物が落とされた音を聞きながら、ああ、今すぐここを立ち去りたい、なんて。
『ん。コーラ好き？飲める？』
「……はい、ありがとうございます」
『……ふ、俺が怖い？』
「え？」
『そんな警戒しなくても、取って食ったりしないよ』
わしゃわしゃ、と雑に頭を撫でられて。威嚇する野良犬を宥めるような、優しい目と目が合って。……そんなに、顔に出ていただろうか。
「……あの、俺、羽艶さんの、目がすごい好きなんですけど」
『目？』
「はい。赤くて、キラキラしてて、……なのに、」
黒色だったり、灰色だったりが混ざっていて、濁っている。ずっと見ていると、何かこう、引きずり込まれるような。イケナイモノを、見ているような。
『なのに？』
「……いや、なんでも」
俺は多分、この人のことが気になって仕方がないんだ。どんな人なのか、何を思っているのか。知りたくて仕方がない。だけど知ってしまったら、後戻りできないような。振り返れば、来た道は全て、崩れ落ちていそうで。前に進むしかないような。そんな予感。
だけど。
「あの、姫龍さんって呼んでもいいですか」
『ん。いいよ。ていうか、敬語なくていいよ、セラ』
「……好き」
『ふ、どーも』
やっぱり俺、この人が好きだ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 573人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんこ(プロフ) - もうこのお話を読むために日々頑張っていると言っても過言では無いくらい大好きです😇💗無理なさらない範囲で頑張ってください！！応援しています-`📢⋆ (3月24日 0時) (
レス) @page45 id: 176a047b16 (このIDを非表示/違反報告)
seeenraaa(プロフ) - 最近の生きる楽しみです😭💖えーるさんのお話大好きです！更新ありがとうございます🙇🏻♀️ (3月22日 0時) (レス) @page43 id: 42880fca27 (このIDを非表示/違反報告)
ゅ ぅ ゅ 。(プロフ) - はぁ~~~~……すき。 (3月9日 23時) (レス) @page18 id: 306f53c7de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えーる | 作成日時：2024年3月5日 23時
