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「わっ、私にだって縁談くらいあるわ」

前を行くスウォン達の馬からそんな会話が聞こえてき、ハクとAは思わず小声で話す

「ヨナ姫に縁談なんてあるんですか?」

『うーん、縁談とかは父上が断ってるから、ない...かなぁ。
いや、あると言えばあるんだろうけど父上が断ってたからないね』

"今のところは"

Aはその言葉は言わずに飲み込んだ。
理由はハクがヨナを好きなこと、知っているからだ。

「A様には?」

『私?私には、まぁ幾つか...』

そう、ヨナへの縁談は父であるイルが断ってる。
だが、Aへの縁談はイルが断っても断っても来るのだ。

「ハクとか!」

『ん?』

あらやだ、ヨナったら何言っているの?

思わず表情にそう出てしまうA。

ちなみにハクは"コイツ、何言ってんだ?"という顔だ。

「あの...」

「いいんじゃないかな。

おめでとうございます」

スウォンは、言い淀むヨナに気付くことなく、笑顔で祝福した。

これには思わず、姉であるAもどうしていいか分からず...

『わぁ』





「ひどいっ。あんまりよ、スウォン

あんな嘘を信じるなんて」

ヨナはあの後、部屋へ戻るとこのようにズーンと落ち込んでいる。

「ひどいのはアンタだ、そして迷惑だ」

ハクはそんなヨナに呆れているようだ。

「お前の結婚は嘘にならんかもしれんぞ」

『父上?』

そんな中、急にそう言い出したイルにAは咎めるように声を固くし"父上"と呼ぶ

だが、Aの呼び掛けに答えずイルは話を続ける

「無論、相手は然るべき者を選ぶがな」

「父上?」

戸惑うヨナに傍観を決め込んだハク。
Aの表情はどんどん険しくなる

「じきお前は、16だ。

婚約者がいても可笑しくないだろう。

いずれ話そうと思っていた」

「や...嫌よ、私はスウォンが...」

「スウォンはダメだ」

自分はスウォンがいいと言おうとするヨナにイルは食い気味に否定した。

『父上』

雲行きが怪しくなる空気にAはもう一度父を呼ぶ

「父上に私の恋愛をどうこう言われたくないわ」

「ヨナ。

私はこれまで、お前が望む物は何でも与えて来たよ。

美しい簪に耳飾り、離宮に花の庭園、武器以外の物は何でも。

しかし、お前がどれだけ望んでもスウォンを与える事は出来ない。

お前は高華王国の皇女。お前の夫となる者は、この国の王となる者なのだ」

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作者名:深琴 | 作成日時:2022年2月4日 9時

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