雪だるま【青】

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先生はまた空を見つめる








長く、綺麗な手を私に伸ばしてくる









それは私の頬に触れて、熱を感じた









「でも、Aのことも、好きやで？」


「……いいですよ、そんな苦し紛れな答え」


「ほんまやねん、Aのことも好きや」


「……ずるいです」


「……ほんまやな」









ごめんって笑いながら謝る先生なんか……嫌いだ




抱きしめてくる先生なんか……嫌い




大切に、でも強く抱きしめてくる手なんて大嫌い





優しくされる最後のキスも嫌い







嫌い








……嫌い









・









・









「……好き、大好きです」





私は素直じゃない



わかってる



こんなこと言ったって困るのはわかってるのに




嫌いなのに





好き









「……あかんよ、俺先生やし」


「……誘ったのは先生なのに」


「望のとこ、戻らなあかん
あいつだって愛華のこと謝ってきたんやろ？」


「……でも、私はっ「あかんよ」」







「……あかんねん、A」









もう何回目だろう




こうやって先生の前で泣くのは









普通に出会いたかった









先生の近くで、一緒に大人になりたかった









先生がお姉さんに恋する前に、私が恋したかった









恋して欲しかった









「……もう卒業やな」


「……嫌です」


「はは、大人に近づけるんやで？」


「おそい、んです……」


「……A？」









先生が私の涙を拭ってくれるけど、すぐに私の視界に映る先生は歪んでしまう




一瞬、一瞬が大切なはずなのに




そんな風に




勘違いしてしまうほど優しい声で名前を呼ばれたら





私は心から先生を消すことができない









……先生なんて








・








「……嫌い、……嫌いっ……だいっ…………き、ら、い…………っ……」









・








先生の胸を叩く私の力なんて弱すぎて



泣きすぎてちゃんと伝えなきゃいけないことなんて言えなくて




ただ、ただ日が暮れていくだけだった

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