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「大毅、これ」
「ん？」
「この間のTシャツ、忘れていったから」
「うわ、ほんまや、忘れてたんか」
2人で並んで校門を出ると、私は昨日見つけたそのTシャツを大毅に返す
……ほんとに意味わからないTシャツ好きだな、こいつ
「いつのや、これ」
「お泊まりきたのじゃない？この間の」
「あー！よー見つけたなぁ」
「荷造り、してたから」
私がそう言うと「そっか、」とそのTシャツをスクバの中にしまう大毅
しばらく無言が続いたけど、別に苦しいわけじゃなくて
でもやっぱりいつもは会話が途切れることなんてないから
少しだけ、変な緊張感を覚えた
「……Aさ」
「え？」
「料理出来たっけ」
「は？」
「いやー、寮生活ってゆーても料理とかは自分でやるんやろ？
Aって不器用だからできへんやろなーって心配してやってるんやで」
自炊をしなくてはいけない私の通う大学の寮では、料理ができないと生きていけないことぐらい
志望校として決めた時から知っていた
まぁその前からお母さんに習ってある程度はできてたし
「大毅にお弁当作ったことあるじゃん」
彼に頼まれてお弁当を作ったことがあるのも事実
屋上や中庭で食べたのも今思えばなかなかの青春の出来事だった気がする
「あ、たしかに」
「もーなんなの、馬鹿にしすぎっ」
「心配してやってるのになんやねん」
「心配してないでしょ、それ」
いつも通りのテンポの会話に戻って
いつも通りに手を繋いで
いつも通り寄り道して
いつも通りココアを飲んで
いつも通りに私の家の近くまで大毅に送ってもらった
「……じゃあまた明日」
「……明日、行ってまうん」
「え？」
「東京、明日やろ」
「……うん、式が終わったら」
でもこの空気はやっぱりいつも通りじゃなくて、離れた手がいつも以上に寂しく感じた
彼も私も苦笑いで
どうかこの時が止まればいいのに、と願うけど
もうあたりは暗くて、もうすぐ夕飯の時間
お母さんの手料理を食べれるのも最後だから、少し早めに帰らなくちゃいけない
「ほな、また明日」
「……うん、明日」
名残惜しい気持ちを残しつつ、軽く振られた手に振り返して
私は彼に背中を向けた
冷たい春風は、今日も吹き荒れていて
そっと、髪の毛をまたなびかせた
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ゆか - ドキドキして読むのが楽しみでしょうがない感じでした。頑張ってください。 (2019年2月11日 12時) (
レス) id: 914870328c (このIDを非表示/違反報告)
Luna.(プロフ) - 最初の方は｢可愛らしいカップル、憧れやなぁ｣ってほっこりして、でもだんだん淋しくなってきて。ラストは大号泣でした、、、！こんな素敵な作品に出会えて良かったです！！！Twitterフォロー失礼しますね！ (2017年4月9日 2時) (レス) id: 47b3f54f43 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり(プロフ) - αレムりんαさん» コメントありがとうございます！返信遅れてしまって申し訳ありません。とても嬉しいです。こんな私の作品を読んでくださってありがとうございました！これからもよろしくお願いします^^* (2017年3月26日 6時) (レス) id: 7e68a8b094 (このIDを非表示/違反報告)
αレムりんα - 最後辺り、すごく感動しました！泣きそうになっちゃって！！この作品を作ってくれて、ありがとうございました！ (2017年3月14日 18時) (レス) id: 70a3631a86 (このIDを非表示/違反報告)
かみこ(プロフ) - 気持ちが伝わってきて、最後のあたりからずっと泣いてしまいました。とても素敵な作品をありがとうございました！ (2017年3月8日 1時) (レス) id: 60518509e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーり
| 作成日時：2017年3月4日 14時
