れ ページ4
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とりあえず仕事の汗を流そうとシャワールームに向かうとかごの中に投げ出されている男物の下着や服。
「ねぇ!」
「ん〜?」
てちてちと足音をさせて脱衣場にやってきたそいつ。
私はそのかごを指さす。
「こういうの!」
「え〜なに?Aって男物の下着とか見たことないん?」
「そういう事じゃなくてちゃんと、こう、配慮しろやっ!」
「彼氏なんやから許してやぁ」
そう言って笑うとそいつはまたリビングの方に戻っていく。
残されたのは、私と、あいつの下着と服。
……たくっ、
「彼氏なんか出来た覚えないからっ!!!!」
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シャワーだけ浴びてタオルで髪の毛を拭きながらリビングに戻ると、まだそいつはテレビを見ながらビールを楽しんでいた。
「まだ飲んでるの……。」
「ちょびっとずつしか飲めへんねん。」
Aも飲む?と差し出された缶ビールを受け取って、ぽんぽんと叩かれたそいつの隣に座る。
ぷしゅーっと音を立てて開けられたそれをぐびーっと飲みあげると「おー。」と歓声が聞こえた。
「ビールはこうやって飲むの。」
「俺酔ってまうもん。」
「ロボットも酔うんだ……。」
「ちゃんと酒の好みもあんねんで〜。」
甘いカクテルが好きだというそいつは、私の家の缶ビールをまたちょびっとずつ飲んでいく。
ついでにスルメも。
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「その服、どうしたの。」
「え?これ?」
「うちに男ものなんてないし。」
そいつの着てるださっさいTシャツ。
趣味を若干疑うわ。
「国が用意してくれてんねん。」
……国の趣味疑うわ。
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「ねぇ、名前とかないの。」
そういえば、私は彼のことを ゛そいつ ゛としか表現できない。
「ん?んー、そやなぁ。
名前は基本無いねん。」
「ふーん。」
「1992号って研究所に居ったころは呼ばれとったし。
あ、でもじゅんたにはなんか知らんけど ゛しげ ゛って呼ばれとった。」
「じゅんた?」
「俺ら恋愛ロボットのことを作った中間財閥の社長の息子。よく研究所に遊びに来ててん。」
楽しそうに ゛じゅんた、じゅんた、゛って人のことを話すから
多分悪い人ではないんだろう。
「で、なんで ゛しげ ゛?」
「知らん。そういう感じがするやって。」
よー分からんよなぁ、と笑う左目の下に出来た笑窪。
……ロボットにも笑窪は出来るんだ。
細かいなぁ。
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夏 - ページ12【キッチンを除くと】→覗くと、 ページ13【…このこと、だいきに言ったからどうなるんだろう。】→言ったらどうなるんだろう、 ページ15【首を降ったから】→振ったから、 ページ16【焼き鳥とり】→焼き鳥より だと思います。 (2017年10月19日 18時) (レス) id: 44661be576 (このIDを非表示/違反報告)
夏 - ページ1【千円札でお釣りが帰ってきて】→返ってきて、 ページ3【売れ残る分けないでしょ?】→訳ないでしょ?、 ページ11【いつも通り最近あった事とかとか】→「とか」1つ多い 【そんな風にいつも通りお昼ご飯を食べて部署の戻ると】→部署に戻ると、 (2017年10月19日 18時) (レス) id: 44661be576 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん°(プロフ) - Twitterで言ってたやつだね! (2017年9月3日 11時) (レス) id: 5c49c99a1a (このIDを非表示/違反報告)
憂雅(プロフ) - コメント失礼します。とても楽しく読ませていただきました!よければチサトちゃんバージョンのお話も読んでみたいです。 (2017年8月28日 20時) (レス) id: 43f21d8ca1 (このIDを非表示/違反報告)
もか - 初めまして!物凄く面白かったです!!続きが気になりますTTもしよければお願いします!楽しみにしてます♪ (2017年8月28日 0時) (レス) id: ed3f3f72d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆーり | 作成日時:2017年8月27日 10時