五年い組の美人さんは陰陽師でした!?〜二ノ段〜

61 ページ11

「(何だかフワフワする…。)」

目を開くと、そこは雲の上のような場所だった。

「あれっ、起きた?」

明るい声のする方を向くと、そこには着物姿の少女が居た。
歳は…同じくらいだろうか?

「ここはどこ?あなたは誰?何が起きたの!?」

「スト〜ップ!そんなに一気に聞かないでよ。」

「あっ、ごめん。」

「順番に答えていくから。まず、ここはあなたの心の中。そして、私はあなたの正の感情。」

「正の感情?」

「正の感情っていうのは、“嬉しい〜”とか“楽しい〜”とか良い感情のコト。つまり私は、良い存在なのよ!」

正の感情とやらは、自慢気な顔をして言った。
しかし、急に深刻そうな顔になった。

「何が起きたかというとね、あなたという存在が、負の感情に乗っ取られてしまったのよ。」

「それって、どういう…?」

「人の心ってね、主に正の感情と負の感情の2つが、上手くバランスを保ちながら成り立っているの。
でも、負の感情が大きくなりすぎてしまったから、暴走して、あなたの存在を乗っ取っちゃったのよ。」

「じゃあ、現実世界の私は今?」

「完全には乗っ取られていないから、まだ昏睡状態ぐらいじゃない?でも、あと3日もすれば、完全に乗っ取られて、元の世界には帰れなくなるわ。」

「そんな…どうすれば?」

「現実世界の誰かが、あなたの負の感情を正の感情で包み込むしかないわ。」

「つまり、私にできることは無いってこと!?」

「そ〜ゆ〜こと。」

それってヤバくない?
最近の私は、皆のことを避けまくってたし。
助けてくれる人なんて居るわけない。

「(絶対絶命だ。)」

私はその場に崩れ落ちた。

62→←60

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す