なにわの調２ (ページ33)

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謙「みっちー…っ」

流「謙杜…」

シンと静まり返るリビングに謙杜の嗚咽混じりの声だけが響いている。

学校の全教室、体育館、隈無く探したけどみっちーは見つからなくて。

帰り道もいつも通る道を基本に辺りを探したけど見当たらなかった。

暗くなる前に帰れ、と丈くんからのお達しを聞いていたから、まだ探し足りない様子の謙杜を引きずるように施設へ戻ってきたけど…。

流「謙杜…おいで、大丈夫…

きっとみんなが見つけてきてくれるよ」

謙「…っいま、みっちー…っひとりにしたら…あかん、」

流「うん…せやな。

俺も謙杜と同じ気持ちやよ」

謙「みっちーのクラスの子に…聞いてん…っ

けさ、みっちー…クラスの人と、言い合いになったって…

みっちーずっと嫌がらせされとったって…っ」

流「うん…」

謙「ほんまは…っずっと、ずっと学校行きたくなかったのかもしれへん…

っおれ、気づかんくて…！部屋一緒なのに…っ」

流「俺も一緒に登校してたのに気ぃつかへんかった」

謙「おれ、同い年やのに…っ

りゅ、せーくんよりみっちーの傍…おったのにっ」

流「喧嘩売ってるん？」

謙「ちゃうもんっ…そんな話しとらん…！」

流「ごめんごめん、」

肩で息をしながら話す謙杜の話に相槌を打ちながら背中を摩る。

謙杜もそうやったみたいに、体調の変化には気づいてても…みっちーが何を感じて、何を抱え込んでいるか本質には気づいてへんかった。

謙「みっちー、おこってたって…」

流「なんで…？」

謙「俺らのこと…っ家族のこと悪く言うなって…

怒ってたって…、おれっ、いますぐみっちーのとこいって…

っハグして、ありがとうっていいたいのに…！」

流「…そっか、みっちー…そんなことを」

謙「そやから…っはやく、見つけなきゃっ…」

流「謙杜、俺もここから出て走って、早くみっちー見つけたいよ」

謙「なら行こうや流星くんも…っ」

流「みっちーが先にここに戻ってきたらどうするん？

誰がおかえりって、ハグしてやるん？」

謙「…っ」

流「そんな寂しいこと俺はしたくないな」

謙「っう、ごめ…っごめんなさい…りゅーせ、くんっ」

流「ええよ…一緒に待とう、謙杜」

焦ったらあかん。

そんなことわかってるねん。

絶対みっちーは帰ってくるよ、と謙杜に言いながら自分にも言い聞かせ続けた。