なにわの調２ (ページ23)

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恭「ただいまー」

今日は撮影が無いから、暗くなる前に施設に着いた。

返事がないから、みんなまだ帰ってきとらんのかな。

でも玄関には靴が二足…多分みっちーと流星のやな。

リビングにも誰もおらんし…部屋か。

自分の鞄を置こうと部屋に戻ったけど、そこには流星の姿はなくて。

みっちーの部屋におるんやろか。

そう思って制服のまんま、謙杜とみっちーの部屋のドアを軽く叩いて開けた。

流「おかえり、恭平…」

小さい声で流星が言うところを見るとみっちー、寝とるんか。

恭「みっちーどないしたん？」

流「ちょっと玄関で戻してしもて、さっき寝たとこ。」

恭「そっか…顔真っ青やな、」

流「うん…俺、体調悪そうなの気づいててんけど、言わんくて…無理させてもうた。

やっぱり、年上2人は偉大やなって思った」

責任を感じてるんか、流星の表情は翳っていて感情が読み取れんかった。

恭「俺ら、みっちーの兄貴になったばっかやん。

間違いもあるって。

ほら、失敗したら成功するって言うやん？」

流「…失敗は成功のもとやろ(笑)」

恭「それそれ。」

流「ありがとう恭平」

恭「どいたま〜。

俺みっちーの傍におるから荷物、置いてきーや」

流「ん、わかった。よろしく」

流星の表情がにこやかなものになって、去っていく。

流星も俺も、みっちーのために何かしてあげたいと思ってる。

でも丈くんや大吾くんに比べてまだまだ無知な俺らはうまい甘やかし方ができひんくて、我慢してることに気づいててもどうやって手を差し伸ばしてええかわからへん時がある。

道「…ん、たかはし…くん…？」

恭「ああ、ごめんみっちー起こしてもうた？」

道「ぅうん…、へーき、」

恭「痛いとこない？」

道「…、あたまいたい」

寝起きやからか、いつもの敬語なみっちーやなくて甘えん坊のみっちーやった。

こういう時は素直なんやな…。

やっぱり寝ぼけとる時とかは人間、警戒心が解けるというか素になれるんやろう。

恭「一回水分だけとろか。脱水かもしれへんから…」

道「ん…、」

恭「いい子。

りゅーせー、お水持ってきてくれへーん？」

流「わかったあー」

まだ部屋に戻ってこない流星にその場で声をかけて、水を持ってきてもらうように頼んだ。

気怠そうなみっちーが俺の制服の袖をきゅ、と掴んで離さずにいる。

独りじゃないでみっちー。

大丈夫やで。

そう心の中で返し、掴まれていない方の手でみっちーの手を握った。