なにわの調２ (ページ21)

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放課後のホームルームが終わり、皆が部活へ向かうのを見計らって教室に鞄を取りに向かう。

謙「みっちー！やっと見つけた！

見当たらんから心配したで〜どこ行ってたん…」

道「…！ちょっと先生に雑用頼まれて、職員室に行っとった」

謙「なんだ〜良かったぁ…。

でもみっちー、何か顔色悪いよ…？大丈夫？」

道「ああ、うん(笑)

ちょっと重い荷物持って階段昇り降りしたからかな…」

流石、鋭い謙杜だ。

僕の不調にいち早く気づいた。

でも今は…何も言わんで…。

そう願いながら、謙杜から目を逸らして鞄を手にした。

道「今日、謙杜部活なん？」

謙「そうなんよ〜！だから今日流星くんと先帰ってて！」

道「おっけ、頑張ってね」

謙「うん！ありがとみっちー！」

道「じゃ、僕大西くんのとこいくね。」

謙「はーい！あ、みっちー」

道「…なに？」

謙「無理だけはあかんで？」

道「…うん。ありがと」

謙杜は何も追求はしてこんかったけど、別れ際の言葉は僕に釘を刺しにきているように思う。

もう少しうまく嘘をつければ…。

『みっちーの嘘つき！！』

ふと、あの時の謙杜の言葉が頭の中に蘇ってきた。

また、言われてしまうかもしれんな…。

ごめん、謙杜…。

後ろ髪を引かれつつも、謙杜に背を向けて下駄箱へ向かう。

大西くん、また待たせてるやろか…。

でももう…今日は走れそうにない。

ちょっと気を抜けば踏み外しそうで、階段の手すりを辿ってゆっくりと確実に下っていく。

流「みっちー、こっちこっちー！」

道「すみません、待ちましたよね…？」

流「大丈夫やって〜！気にしすぎや！」

道「謙杜、今日は部活みたいやから先帰っててって言うてました」

流「おー、そうなんや。

じゃあ俺みっちー独り占めやな」

道「ふふ、僕も大西くん独り占めです」

流「相思相愛じゃーん」

何とか、明るく振る舞えただろうか…。

悟られないように、大西くんと施設への帰り道を歩く。

心なしかいつもより遠く感じた。