なにわの調２ (ページ19)

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「はい、整列ー。今日は先週に引き続き1000m走行くでー」

｢うわあ…やだ〜｣

｢誰や今、嫌言うたやつ〜！

嫌言うてもやらなあかんのやでー｣

｢うぃーっす…｣

初めて、皆と同じ列に並ぶ。

最悪のタイミングで1000m走の授業やった。

先生にはもう医者からの許可が出たと、嘘の申告をして今日から参加できるようにしてもらった。

｢嘘…あいつやっと参加すんの？｣

｢いつまでもサボるわけにいかんのやろ〜｣

参加しても尚、留まることのない陰口。

ぎゅ、と震える手を誤魔化すように拳を握りしめる。

大丈夫、大丈夫…。

退院してから大橋くんが作る栄養を考えた美味しいご飯と、皆の温かさのおかげで体調は安定しとる。

体力もまあまあついてきた自信はある。

これが終わったら…また皆のおかえりが待ってる。

やから、頑張らな。

｢おーし！じゃあスタート！！｣

ピー！と高らかに吹く笛の音に、皆が一斉にスタートを切る。

それに合わせて僕も一歩、踏み出した。

ゴールには誰もいない。

前みたいに丈くんや大西くんの元へ辿り着くために走るんやないから、頑張りどころが不鮮明でまだ走り始めやのに僕の足は躓きそうになってばかり。

息が上がって、呼吸が定まらない。

気持ち悪い…もう止まってしまいたい。

でも…もう、陰で言われるん嫌や……。

道「はっ…、ぅ…ﾋｭ、」

頭がガンガンと痛み始めるのに、それでも止まりたい気持ちと止まりたくない気持ちがごちゃ混ぜになってもうよくわからんくなってきた。

道「ゔ…っ」

急に視界が暗転して、そこから僕の記憶は途絶えた。