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朝練が終わった後、教室に戻ると清宮は今日も男と女で囲まれていた。
最近分かったことがある。清宮はあいつらといる事が嫌い。
愚痴を聞いた時、あいつらの悪口しか言っていなかった。
話がつまんねぇ、自慢しか言わねぇ、俺に媚を売る、俺の上辺しか見ていない。
思い出して見れば限りがない。
それならなんで一緒にいるのかと聞いたことがある。なんでも、清宮が教室の扉を開いた時、あいつらは清宮の席にスタンバっているんだと。
それにやたらベタベタされる。粘着人間かっ、て愚痴られたけどネーミングセンスないわ清宮。
その結果相当ストレスが溜まってたんだろうな。
いつものように俺が清宮に挨拶しようと席に向かおうとした時。
清宮が静かに、だけど怒気を孕んだ声で言いやがった。
「テメェら、いい加減ウゼェんだけど」
あ、清宮言っちまったな。
教室をまるまる冷凍庫に入れたような冷気が漂っていた。なんか寒くなって来たような気がする。
見ろ、あいつらの顔。ショックか何か知らないけど口を開けたまま動いてない。
俺も動いたらやばい気がして自分の席から動けない。他の奴らも固まってやがる。
「ん?おー、黒尾、はよ」
「!...清宮、おはよう...」
清宮が放った言葉を筆頭に、クラスの皆が話し始めた。恐らくみんな、今の清宮の事をヒソヒソと言ってんだろうな。
「イケメンって大変だな...」
「は?何言ってんだよ。この顔のお陰で人生イージーモードだわ。それにお前だってイケメンの部類だろ。」
「あー、そういう事じゃないケド。」
「...ああ、確かにな。イケメンはイケメンなりに苦労してんだよ。」
「俺も言えるようになりてー...」
「せいぜい頑張るんだな」
「...上から目線ウザイんですけど」
「めんご、そろそろ席戻るわ。」
じゃあ、と言いながら笑った顔で自分の席に戻った清宮。
清宮の席にはまだあの集団はいたけど、清宮の顔を見て何かを察したのかは知らないが、全員気まずい顔をして自分たちの席に戻っていった。
あいつらが清宮と喋ることはおそらく、いや一生ないだろう。
なんでだろうな...
ざまあみろ、と思った自分がいる。
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作者名:あんこ | 作成日時:2017年8月2日 16時