The promise of tomorrow ページ23
それは、必然だったのかな。
『ダメ、言わせないで』
今さら、後悔するの。
あの日の自分を、恨んでる。
助けて。
寂しくて堪らないの。
誰かの温もりが、恋しくて。
『あ、カルマくん…』
「おはよ、Aちゃん」
いつも電車の中で会うカルマくん。
制服からして学校は椚ヶ丘だと思うけど。
お互いに名前と、同じ中学三年生であること、話す中で出た趣味だとか休日の過ごし方だとか、それくらいしか知らない。
だけど会う度、嬉しくなる。
今日もかっこいいなあ、って。
でも少し辛くもあるの。
だって私は、恋ができない。
走る電車の前に飛び出した女の人が、血だらけの顔で私を見たの。
“私はあんなに、あの人を愛していたのに…”
女の人は喋っていないのに、私の耳には、確かにそう聞こえた。
“お前も二度と、恋なんてできなければいい”
その瞬間、雷に打たれたような衝撃が体を駆け抜けて、私は意識を失った。
病院で目覚めた私。
ポケットに違和感を覚えて、ふと手を入れた。
中には紙切れが入っていた。
血で書いたみたいに真っ赤な字で、そこにはこうあった。
“貴女は恋をすれば声を失う”
あぁ、あの女の人だ。
だけどこんな信じてもらえなさそうな話、誰にもできなかった。
試しにクラスの男子を好きだと自分に思い込ませてみれば、確かに喉が痛んだ。
声が出なくなることはなかったから、この呪いには、私の本当の気持ちが分かるのかな。
クラスの中に飛び交う“好きな人”の話は、いつも私の胸を締め付けた。
それがあってから、もし本当に声が出なくなったら、ということを考えては、恐ろしくて体を震わせた。
要は、恋をしなければいい。
好きにならなければ、声は無事。
そんなの簡単、そう思ってた私もいたね。
「今日昼までなんだよね、ラッキーじゃない?」
『いいなぁ、私はバリバリ六時間』
そんなくだらないことを話しながら、お互いの目的の駅に到着するのを待つ。
彼が降りる駅の一駅手前が、私の降りる駅。
「あ、そこ空いたよ。座れば?」
『私いいよ。…あ、おばあさんどうぞ、ここ』
“ありがとうねぇ”
そう嬉しそうに笑うおばあさん。
カルマくんも微笑んでた。
『私もう降りるしね』
「だね、また明日だ」
.
One_The promise of tomorrow
(そうして明日の約束を交わす。)
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さくら(プロフ) - え、徳島なんですか!私も徳島出身なんですよ! (2018年7月15日 6時) (レス) id: 32f861f453 (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - そらる大好き結衣。サンさん» ありがとうございます!題名気に入ってます。笑 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 2b331bc7c5 (このIDを非表示/違反報告)
そらる大好き結衣。サン - 感動…!!!泣いちゃいました。笑 最高です! (2018年5月25日 12時) (レス) id: 220185e22c (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - そらる大好き結衣。サンさん» 了解です、ご期待に添えるよう頑張ります。笑 いやいや、東京から見たって都会ですよ!笑 私も徳島けっこう好きです! (2018年5月24日 16時) (レス) id: 2b331bc7c5 (このIDを非表示/違反報告)
そらる大好き結衣。サン - あーーー。本気で!あずみさんの作品大好きやから、どうなるんか楽しみにしてます!それと、兵庫って、中途半端じゃないですか?笑東京から見たら田舎で、それこそ徳島から見たら都会。俺田舎好きですよーー!近くに山とか川とか…めっちゃ憧れます! (2018年5月24日 16時) (レス) id: 17db40430b (このIDを非表示/違反報告)
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