お洒落 ページ19
「着いたよ」
カルマくんが鍵をポケットから出して、ドアの施錠を外す。
『お邪魔します』
カルマくんの家は、彼の匂いでいっぱい。
お香みたいな匂いがする。
でも優しい匂いだ。
「ん、俺の部屋ね」
『意外と綺麗』
「意外とか失礼なんだけど?」
冗談だよ、とか言って笑いあう。
なんだろ、この安心感。
そんな思いから、私はベッドの側面に背中を預けてゆったりと寛いだ。
やっぱり、なんか落ち着く。
「Aさ…ほんと、ばかなの?」
『なんで?』
いきなりばかって言われて、でも何がどうばかなのかよく分かんなくて、質問に質問で返す感じになってしまった。
確かにばかだけど。
でも今の場面のどこに、私のばかが露出されるようなところがあっただろうか。
「男の部屋に簡単に上がり込んでさ、終いにはそんな寛いじゃって、危機感なさすぎじゃね?」
『いや…何言ってるの、カルマくん』
「冗談のつもりないよ。ダメじゃん、自分を好いてる男の部屋に、まんまと誘い込まれちゃ」
自分を好いてるって。
それってまさか、カルマくんは私のこと…。
でもそんな夢みたいなことあるはずない。
だってカルマくんはかっこいいし、頭も良いし、運動もできるし。
こんなに何でもできて、女の子なんて選び放題であろうカルマくんが、私なんて…。
『カルマくん、待って。あのね…』
「ん?」
恥ずかしい。
フラれたらどうしよう。
友達でもなくなっちゃう?
立ち直れないかも。
でも言わなくちゃ。
言わなきゃ後悔する。
『カルマくんが好き』
やっと伝えられた言葉は、震えてた。
「あはは、今さら?」
『え?』
「知ってるよそんなこと、だいぶ前から」
『え!』
あまりに衝撃的な言葉に驚きが隠せない。
だってまさか知られてただなんて。
今だってこんなに頑張って伝えたのに。
「俺の気持ちだって、気付いてないのはあんただけだから。皆気付いてるよ、鈍感だね」
『それって…』
「俺も好きだよ」
ずずっ、とカルマくんが急に近くなった。
すると二人の唇が触れる。
「さて、あまりに無防備なAを、躾てあげないとね?」
妖しく口角を上げたカルマくんに、私の心臓は、また大きく高鳴った。
.
お洒落
(私がカルマくんのために少しでも、って)
(お洒落してたことも)
(カルマくんは知っていたらしい)
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さくら(プロフ) - え、徳島なんですか!私も徳島出身なんですよ! (2018年7月15日 6時) (レス) id: 32f861f453 (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - そらる大好き結衣。サンさん» ありがとうございます!題名気に入ってます。笑 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 2b331bc7c5 (このIDを非表示/違反報告)
そらる大好き結衣。サン - 感動…!!!泣いちゃいました。笑 最高です! (2018年5月25日 12時) (レス) id: 220185e22c (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - そらる大好き結衣。サンさん» 了解です、ご期待に添えるよう頑張ります。笑 いやいや、東京から見たって都会ですよ!笑 私も徳島けっこう好きです! (2018年5月24日 16時) (レス) id: 2b331bc7c5 (このIDを非表示/違反報告)
そらる大好き結衣。サン - あーーー。本気で!あずみさんの作品大好きやから、どうなるんか楽しみにしてます!それと、兵庫って、中途半端じゃないですか?笑東京から見たら田舎で、それこそ徳島から見たら都会。俺田舎好きですよーー!近くに山とか川とか…めっちゃ憧れます! (2018年5月24日 16時) (レス) id: 17db40430b (このIDを非表示/違反報告)
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