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ずっと傍にいてよ ページ3

「あれ?」


目が覚めて、最初に違和感を覚えた。
昨晩確かに抱き締めて眠ったはずのAが、腕の中にいない。
それどころかベッドにも、部屋にもいない。

寝起きから最悪な気分。
今日が休みでなければ、きっと学校になんか行ってなかった。

ゆっくりと体を起こす。
やっぱり、朝起きたときにAが隣にいないのは嫌だ。


「はぁ…」


どこにいるだろ。
リビングへ向かう足取りは重い。

トントントン、と小気味良い音がキッチンから聞こえてきた。
あぁ、朝飯でも作ってるのか。

リビングのドアを開けた瞬間、トーストの焼けるいい匂いがした。
Aが野菜を切っているのが見える。
こうして料理してるのを見ると、何だか夫婦みたいで、ちょっと嬉しい。


「おはよ」


そーっと近付いて、Aに抱きつく。


『びっくりした…おはよ』


一瞬体を強ばらせてから、振り向いて優しく微笑んでくれた。

あー、かわいい。
ほんと、奥さんに欲しい。


「起きたらいないからびっくりしたよ」

『朝ごはん作ろうと思って』

「ダメ、俺が起きるまで隣にいて」


抱き締める腕に力を籠めれば、Aがやれやれといった感じで正面に向き直り、ぎゅっと抱き締めてくれた。


「好きー」

『私も。ほら、ご飯あとちょっとだから』


俺を離そうとして押し返す掌。
だけど今は絶対に離してやりたくなくて。


「やだ」

『駄々こねないの』


俺を宥めるように頭を撫でるけれど、そんなんで誤魔化せると思わないでよ。


「やだ、一緒にいて」

『もー、いる部屋は一緒でしょ?』

「そういうことじゃない」


Aの体を抱き上げて移動し、そのままソファに座る。
膝の上のAの体を抱き締めて、肩口に顔を埋めた。


『もー、パン冷めるよ』

「知らない」


寂しかったのか。
怖かったのか。
起きたとき、隣にAがいなかったことが。

どうしようもなく抱き締めたくなったんだ。
小さな空気の分子さえ、間に入れないくらい。

でもね、1つだけ言わせて。
俺はその耳許で呟く。









.









ずっと傍にいてよ
(君のいない日常なんて、欲しくない。)
(君がいて初めて、日常が成り立つなんて。)
(とても素敵で、夢みたいでしょ?)



『甘えたか』

「そーかも、甘やかして」

『いいよー、どんとこい!』


罪と罰→←私の好きな人_♭



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さくら(プロフ) - え、徳島なんですか!私も徳島出身なんですよ! (2018年7月15日 6時) (レス) id: 32f861f453 (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - そらる大好き結衣。サンさん» ありがとうございます!題名気に入ってます。笑 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 2b331bc7c5 (このIDを非表示/違反報告)
そらる大好き結衣。サン - 感動…!!!泣いちゃいました。笑 最高です! (2018年5月25日 12時) (レス) id: 220185e22c (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - そらる大好き結衣。サンさん» 了解です、ご期待に添えるよう頑張ります。笑 いやいや、東京から見たって都会ですよ!笑 私も徳島けっこう好きです! (2018年5月24日 16時) (レス) id: 2b331bc7c5 (このIDを非表示/違反報告)
そらる大好き結衣。サン - あーーー。本気で!あずみさんの作品大好きやから、どうなるんか楽しみにしてます!それと、兵庫って、中途半端じゃないですか?笑東京から見たら田舎で、それこそ徳島から見たら都会。俺田舎好きですよーー!近くに山とか川とか…めっちゃ憧れます! (2018年5月24日 16時) (レス) id: 17db40430b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:上弦の月 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年2月15日 18時

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