阿部ちゃん短編集

・ ページ31

「『あ』」

目が合い、阿部(仮)も立ち止まる。

阿「こんなとこでこんな時間に何してんの？あやさん」

ニコッと笑うそいつの声は阿部くんそのもので…

『あ、阿部くんこそ…』
阿「俺？俺は中学の時の友人と飯食ってただけ」


戸惑ってる私を見て、阿部くんは笑いだす

『なっ、何？』
阿「いやｗえ？俺そんなイメージ変わる？」

いや、変わるわっ！
次期生徒会長候補でもある、学校の真面目くんがこんな時間にこんな繁華街、普通は居ないよ！

阿「あ、そうだ」

阿部くんはそう言うと、近くの路地に私を連れ込む。

『えっ、ちょっ！』

そして、そのままキスされた…


『何して…！』
阿「今日、ここで俺見た事、学校では黙っててね？一応、優等生キャラ作ってるから」

壁ドンしたままニコニコ話す、阿部くん…

だけど、顔色がすぐに変わって、男の顔になる。

阿「あと…」

そのまま耳元まで顔を寄せてきて…

阿「俺、童貞じゃないから」

そう言うと、私から離れた。

私は何が何だか分からなくって、その場にへたり込む。

阿「何してんの？ほら、家まで送ってあげるから。行くよ？」

そう言って差し出される阿部くんの顔は、さっきのニコニコ顔の阿部くんだった。

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