19.決意 ページ19
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度肝を抜かれたような表情をするリドル寮長。
「何も知らないくせに……僕のこと何も知らないくせに！」
リドル寮長の表情が豹変する。
周りも動揺している。
短気な性格かもしれない、と聞いた事があったが短気なだけでここまで怒るわけが無い。
声が荒がっても、リドル寮長は自分に言い聞かせるかのように叫ぶ。
「お母様は正しいんだ！！だから僕も絶対に正しいんだ！」
流石に不味いと思ったのかトレイ先輩や学園長が口を挟む。
これで、話が終わるのか。
そうして彼はまだ気づかないまま、終わってしまうのか。
折角、エースくんがリドル寮長に間違っていると声を上げたのに、無視されまたこの寮の寮生は苦しみ続けることになるんだろう。
ここで、蹴りを付けなくていつ付ける。
「！？、なんだ」
トレイ先輩が目を見開いて驚く。
それは、テーブルの上に並べてあった中の卵がリドル寮長の顔に見事なショットをしたから。
犯人は隣にいたハートのマークが左目の下に塗られている彼。
「誰だ、僕に卵を投げつけた奴は！」
『俺です』
手を挙げる。
周りがどよめいた。当たり前だ。他寮で関係もないのだから。
しかし、敵意が俺に向けばちょうど良い。散々怒ってストレス、そして思い事発散させてしまえば良いのだ。
「君は、ハーツラビュル寮の寮生じゃないだろう。部外者は出ていけ！！」
『大切な友人の母親を侮辱されて怒るのは当然かと思いますが』
友人、と強調して言う。
ここで穏便に彼の機嫌を和ませて終わっては本題が解決していない。
仕方ないが、協力しよう。エースくんの言葉を無下にしない為に。
リドル寮長が顔を真っ赤にする。
「……アハハッ、僕も舐められたものだね。今年の新入生は本当に生意気だ。全員連帯責任で首をはねてやる！！」
その言葉の直後、僅かコンマ5秒にも満たない速さでその場にいた全員にユニーク魔法をかける。
魔法を繰り出す時間を記憶していた為何とか防御魔法で遮ったものの、周りの殆どの生徒は彼の思惑通り。
「薔薇の木よ、あいつの身体をバラバラにしてしまえ！！」
場は暗くなる。
黒い雰囲気が包む。華やかに飾られていた庭園もまるで地獄のように変貌する。
……まずい。少し卵を投げたことを後悔。でも、彼の何年も蓄積された思いはこんな方法でしか消せないのかもしれない。
目をぎゅ、と瞑り防御魔法をもう一度全身にかけた。
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