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デュースはマネキン人形みたいに固まる。
……これは、無言の肯定なのか、否定なのか。
多分後者だ。焦って笑顔を作り誤魔化す。
『冗談だって。そんな怖い顔するなよ』
しかし、デュースは顔色を変えず俺を見つめる。
寒いからとか適当に理由を付けて早く帰ろう。いい加減な言い訳を言い、帰ろうとするが、デュースが力強く俺の腕を掴んで離さない。
『あのさ、痛いんだけど』
「……掴まないと、Aは消えてしまいそうだからだ」
消えてしまいそうだなんて、俺は人間だからここにいる。お前の前にいるじゃんか。
長い沈黙の中、見つめ合う。
デュースの切ない表情を見るとあの焼肉屋の出来事がフラッシュバックした。
明日になったら、此奴は彼女が出来てるのかな。
さっきのギャル告るとか言ってたけどデュースなら誰も拒まず受け入れそうだ。無駄に優しいから。
……それなら、もう、後悔しないように先に言っておくべきかな。
『好きだ』
自然と口から零れたなんて言い訳は言わない。
俺の意思でハッキリ言った。
デュースは驚いたように目を見張った。
本当は言うつもりなく俺の胃の中で隠したままにしておく筈だったが、此奴がどうせ、他の人のものになってしまうなら今のうちに言ってしまおう。
『ごめん。振ってもいいから、友達のままでいてほしい』
絶交されても構わない。
喉が、込み上げてくる涙を飲み込むかのようにゴクリと動く。
覚束無い言葉を必死に紡ぎながら話した。
『ごめん、俺、嘘ついたんだ。沢山。沢山。お前が天使だとか言ってたのは、俺なんだ。ごめんなさい』
デュースの顔が見たくなくて、自分の情けない顔を見せたくなくて、俯きながら話す。
すると、デュースは俺と目線を合わせる為にか、姿勢を低くして膝を折り、目を細め優しく声をかけた。
「知ってたさ。お前が、あの時の奴だって」
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どぽぽ2(プロフ) - 藍色さん» 構成を褒められたことがなかったので嬉しすぎます(><)コメントありがとうございます(*´`) (2020年6月4日 5時) (レス) id: 7f61df18d8 (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - え?貴方が神ですか?話も文章の構成の仕方も好きすぎる。 (2020年6月3日 23時) (レス) id: d589baaf2f (このIDを非表示/違反報告)
どぽぽ2(プロフ) - らい太郎さん» ありがとうございます!!デュースの誕生日記念ということで結構急ぎで書いたのですが、そう言って貰えて嬉しいです(≧∇≦*) (2020年6月3日 5時) (レス) id: 7f61df18d8 (このIDを非表示/違反報告)
らい太郎(プロフ) - えっ、めちゃくちゃ好きだった。です。←神作ありがとうございます! (2020年6月3日 5時) (レス) id: 61d99012e6 (このIDを非表示/違反報告)
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