オフィスラブ（緑） (ページ20)

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ぎゅっと先程よりも強く握られた手。

渋｢…はなせ、や｣

低い声が聞こえた。

錦｢すばるくん、そんなこと言えへんやろ。彼氏でも何でもないんやから｣

渋｢…お前もやろ｣

錦｢今は俺の彼女なんすよ…｣

渋｢は？お前がそう思うとるだけやろ｣

フッと呆れたように笑うすばる。

錦｢…なら、｣

と私の手首をつかむと、私の目の前には彼の整った顔があった。

あ｢っ｣

錦｢…ふ、かーわえ｣

彼が向こうを向く時に見えたすばるの顔。唖然としていた…ように見えた。いや、私がそうだったのかもしれない。

錦｢そんなに付き合いたいんやったら、俺とAを別れさせてから言ってください｣

ドキンとしてしまった。彼からA、なんて呼び捨てで呼ばれたことはなかったから。

そう言って、その場から連れ出してくれた。

二人きりになった時に聞いてみる。

あ｢錦戸くん？私、彼女とかじゃないよ｣

錦｢おん、分かっとりますよ。二人のうちのどっちかと付き合う前に、俺と嘘でえぇから付き合ってください｣

あ｢そんなの、｣

私が社長か大倉くんのどっちかと付き合うのが決定しているかのように言う錦戸くん。

あ｢錦戸くんに、失礼だから…無理｣

錦｢えぇんですって。俺は、ダラダラしてるふたりからAさんを預かるんです｣

そう考えてもらったら、と言った。

錦｢今から俺がAさんにやることは俺の好きでやってることなんで気にせんでくださいね？｣

そう言われ、彼は歩き出した。