また会う日を楽しみに【緑谷出久】 (ページ9)

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家デートを振り返れば、何気ない日かもしれないと思ったのは初めだけで、いたせりつくせりだった。

『…(コーヒー飲もう)』

緑谷「Aちゃん？何するの？」

『…(お手洗いに行こう)』

緑谷「Aちゃん、どこ行くの？」

私が何かをしようと立ち上がろうとするとこうだった。

心配性なのか、体調が悪いと言った私に尽くしてくれているのか分からないけど、おそらく前者だと思う。

彼の言葉に私が困った表情をすると、同じように目尻を下げて申し訳なさそうに笑うんだ。

緑谷「ごめんね」

『ううん、私の方こそ合わせてもらってごめんね』

緑谷「ううん、そんなことないよ。あ、そういえば前に頂いた紅茶があったよね？せっかくだし、ケーキを焼いてそれを飲まない？」

『うん』

小さく頷けば、満足気に彼は笑った。

本当に優しい人だと思う。怒ったことはほとんど無かった。

怒るというより叱るような人で、それは全て私の身に危険が生じた時のみだった。

緑谷「夜は危険だって言ってたでしょ？僕に言ってくれれば買いに行ったのに」

緑谷「電車じゃなくて、タクシー使ってって言ったでしょ？」

緑谷「これからは必ず、携帯電話は持って行ってね」

心配性も極めれば、母親のようになるものなのだと思った。

このことを友人にポロリと言ってしまえば、その子は面倒だね、と一言。

でも私は、彼のことをそう思ったことは一度も無い。

とても優しい人だと思った。

間接的に深い愛情をくれる人なのだと。

きっと私は彼に依存している。