また会う日を楽しみに【緑谷出久】 (ページ6)

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緑谷「今日、デートしない？」

『お休みなのに、家で休まなくていいの？』

緑谷「うん！せっかくの休みなんだから、Aちゃんとデートしたいよ」

嬉しい言葉をくれる彼に、私は急いで準備をするために寝室へ向かった。

何を着ていこうかとクローゼットを前に悩んでいると…

ｶﾞﾁｬ

すると先程私が入ってきた扉がまた開いた。そこを見れば出久くんがいて、微笑んでいた。

緑谷「Aちゃん、ゆっくりで大丈夫だよ。その間に洗濯物するから」

『え…本当？』

緑谷「うん。いつも家事やってくれてるし、今日くらい全部僕に任せて」

そのまま彼は姿を消した。

あまりにもスマートすぎる言動に、私はありがとうすら言う暇がなかった。後で必ず言おうと誓った。

洋服を選びながら考える。

彼にはあんなこと言われたけど…

確かに家事は私がやることが多い。しかし、それは仕事量を見れば一目瞭然。

ヒーロー業は時間がいつも同じではない。早番や遅番、夜勤などが当たり前。

反対に私はホワイト企業のためか残業なんてないし、早番もない。

だから必然的に私が家を出る時に彼は既に家を出ていて、私が帰ってきた時にはまだ家に帰っていない。

私の方が家にいる時間が多いのだから、家事をやる量が多くなるのは当たり前だと思っていた。

しかし彼にはそんな私の当たり前は通用しないようで…

緑谷「Aちゃん、また一人で全部したでしょ？」

緑谷「今日は僕がやるから！何もしないでね！？」

家事を積極的にやろうとしてくれる。

だけど彼は仕事をした上で、家事までやろうとするのだ。

本当に彼は、優しすぎる。

だからこそその優しさがいつか、彼自身の身を滅ぼすのではないかと不安になる時がある。

彼の優しさを、少しだけ…

ほんの少しだけ恨みたくなる時があるのだ。