結局同じ ページ32
『っ…』
痛みで、昔の記憶から引き戻された。
零「そうだなぁ…あの日ぶりだったもんね。Aとぶつかった時、運命だと思ったよ。まさか会えるなんて思っていなかったからね」
でも、と続けた彼の声は低かった。
彼の低い声は、嫌なことが起こる合図だ。
ｸﾞｻｯ
『っう、…ぁ、はぁ、っ』
先程とはまた反対のふくらはぎをかすめたようだった。チクチクとする痛みが両脚を襲う。
零「あの男二人は何？特にAの近くにいた髪色が半分違う男…Aは俺がいればいいって言ってくれたよね？」
今、彼の言葉を否定するようなことを言えば、すぐに殺される。
それが分かっていた。分かっていたけれど、
『それは昔の話、でしょっ…今の私に必要なのは、彼らなの』
その言葉を聞いて、サッと冷え込む表情。
けど、それでも私は嘘をつきたくないと思った。
せめてもの抵抗だった。あなたの思い通りになんていかせない。
零「そうか、残念だな。結局あの森原って男は後遺症が残ったらしいぞ、A。…君のせいでね」
『…っあなたが、怪我をさせたでしょう！？』
零「あぁ。…でも引き金になったのはお前だ」
零「お前があの男と話さなかったら、俺だけに話しかけてくれたら、俺のモノになっていたら…」
零「あんなことにはならなかったのになぁ」
森原くんの肩腕が上がらなくなった姿が鮮明に思い出される。
スポーツ万能だった彼は、運動すらできない体になってしまったのだった。
将来を期待されていた彼の人生をぶち壊したのは、他でもない私だった。
『…ぁ、あ…ご、め…』
零「あぁ、可哀想に。こんなにも泣いて…」
横を向いていた私は、顎を掴まれたことで彼の方を向くことになる。
彼の瞳を見ても、私にもそして彼にも何も起こらなかった。
今は恐怖などという感情よりも、森原くんに対する申し訳なさの方が強いのかもしれない。
一人の人生を壊した私は、目の前でニヒルに笑うこの男と同じなのだろう。
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きりん(プロフ) - まーぶりんさん» とても嬉しいです(><)ありがとうございます、頑張ります！！ (2021年8月22日 23時) (
レス) id: 449a33bf31 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - すっごく好みな作品です！続き楽しみにしています！更新頑張ってください(´・A・`) (2021年8月22日 21時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん | 作成日時：2021年8月21日 19時
