たんぽぽみたいな人【我妻善逸】

#35 ページ35

『不死川先生、すみません。遅くなりました』






放送してかなりの時間が経ってやってきたのは東雲だった。





だが、声にいつものような元気はなかった。





姿を捉えて、少し驚いた。






不「お前も…」





『変って言いたいんですね、分かってますよ』






不貞腐れたようにそう呟いた。






不「馬子にも衣装だな」





『そーですか、ありがとうございます』






東雲がダンボールに手を伸ばした時に見えたそれに、思わず掴んでしまった。





ﾊﾟｼｯ






『やめっ、…！』






手を軽く掴んだだけで、この反応。






不「これ、どーしたァ」






おかしい。そう思って、赤紫色に腫れているそこを指さし、そう言えば観念したようにため息をついた。






『…腕を、ぶつけただけです』





不「それだけでそんな反応しねぇだろォ」





『…本当です』






掴まれた腕を引き抜こうとしているようだった。





言いたくないのだとすぐに分かった。





だが、知らなきゃならねぇと思った。





それはいち生徒としても。





そして…

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