一般人が柱に守られる！？ 拾

頬のチリつき ページ12

あなたside




「A」



誰の声かなんて分からない。柱の誰かかもしれないし、炭治郎くんたちのうちの誰かかもしれない、それか鬼殺隊の誰かかもしれない。それか私を取り込む鬼舞辻無惨かもしれない。



誰かは分からなかったけど、その声は今の状況で私の意識を保たせてくれる唯一のものだった。



先程から頭に様々な景色が流れてきて、頭が痛くなる。これは鬼舞辻無惨が経験したことなのだろうか。ズキズキと痛む頭に目を強く瞑った。



『…、』



鬼舞辻無惨を可哀想とすら思ってしまった。この人も生きたかったのだ。病気で元々動けなかったのに、薬が効き始めたと思ったら昼間外に出られない体になってしまった。



…可哀想。



つい同情してしまった。でもだからといってこの男がみんな傷つけて、みんなの大切な人の命を奪ってきたこの男を許せるわけが無い。



許せない、絶対に許さない。



『(お願い、みんなを守りたいの。もうこれ以上、傷つく姿を見たくない)』



先程の光景を思い出せば、チリと頬が熱くなった。自然と、手に持つ刀に力が入る。



ｷﾞｭｳ



眩い光が辺りを照らす。



なに、これ…。

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