十人目の柱となった巫女。 (ページ23)

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あなたside

今日は朝から空に厚い雲が広がっていた。

巫女としての仕事は、依頼に来た人の願いを叶えること。

だが、全ての願いを叶えることは出来ない。

私にも限界があるのだ。

依頼の中から厳選して、その願いを叶えていく。そして礼を頂く。そうやって、私たち天気家は何千年も続いてきた。

そして今日は数十年の付き合いである政治家の方がいらした。その願いは自分が当選する時に晴れさせて欲しいというものだった。

この人は母のことを愛していた人だった。母は美しい人で、その容姿とその力で様々な人を魅了してきた。

「Aさんも美琴さんに似てきたね」

彼が言った美琴さんというのは私の母の名前だ。娘の私から見ても母は美しかった。冗談であろうが、その言葉に礼をした。

『…』ﾍﾟｺﾘ

「本当に綺麗だ」

『ありがとうございます』

それから少しお話をして、今のところ雨の予報である明日の午後から晴れさせて欲しいと言われた。

「ではよろしく頼むよ」

『はい』

「そういえば、これ…よければ」

そう言って渡されたのは、ネックレスだった。

「付けてくれると嬉しいな。」

私はその場でそのネックレスをつけた。

すると満足そうに笑った。

彼はそのまま帰っていった。

明日の午後からは用事があるがそれまで暇だということで、昨日の続きをするために私は家から出た。