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「てかさー聞いてよ、今日体育の授業でさ」
え、今、"まだ"って言ったよね。
あれ、聞き間違えかな？
でも、確実にそう聞こえた筈。
何、この感じ。
胸がザワザワする。
だって、"まだ"って言った時が一番、握る力が強くなってた気がしたから。
「ねえ聞いてる？」
『え、あ、うん、聞いてる聞いてる。体育で…えっと……』
「…はぁ……ちゃんと聞いとけよなー」
『ごめんごめん…』
さっきの壮大の言葉が頭から離れない。
私が敏感だから、ずっと考えちゃうだけかな。聞き間違えかもしれないのに。
でもそれが本当にそう聞こえてたとしたら、確実に壮大は私を＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「Aこっから右だよな？」
『…あ、うん』
壮大のそんな発言で、私は1人の空間から抜け出した。
もうそんなとこまで来ていたか。
時の流れは早い。
「じゃあ明日も帰ろーな」
『うん…………えっ、あ、明日！？』
明日は舜斗と一緒に帰る約束を今さっきしたから、そりゃダメだ。
逆に明日以外だったらいいんだけど…。
「？うん。明日。……もしかして無理？」
『あ、いや…………明日一緒に帰る予定の人居て』
「じゃあその予定崩しといて」
『え？』
どういう事？
なんで、壮大の為に舜斗との予定を崩さなきゃいけないんだ？
まだ壮大に私が舜斗のこと好きってこと言ってないから、察せないのは仕方ないと思うんだけど。
それでも、予定を崩せと言うのはあまりにも自己中すぎないか？
「出来ない？そんな大事？俺と帰るより、大事な相手？」
『…い、いや…………』
質問攻めのように圧をかけながら言ってくる壮大に、怯えてしまった。
この際、壮大に私が舜斗の事を好いているって伝えた方が吉なのか？
「だよな。じゃあ明日、またな」
と考えている好きに、すっかり話が流れていっていた。
壮大の発言の感じ、これ、明日帰ることになってるよね？
ヤバい、早く無理ってこと伝えなきゃ、壮大が帰っちゃう。
『ちょっ、だから明日は…！！』
「何」
『……っ、』
私を見る目は、恐ろしく輝いていなかった。
高一の壮大は、こんな感じ一切してなかったのに。
なんで、こんなことなったの。
『……ごめん、…明日ね…明日。またね』
「おう」
.
続く
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作者名：鯖の味噌煮ちゃん | 作成日時：2024年3月3日 22時
