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「壮大」
教室で友達と話してる時、そう名前を呼ばれ、思わず声のする方を向いた。
そこには、樹音の姿があった。
『ん、樹音？早くね？』
「先に帰られたら困るから先に来た」
そんなに心配しなくても行くのにな、なんて思いながら、『んだよ』と笑って、筆箱と弁当くらいしか入ってない通学バックを持ち、樹音が待つ入口まで向かった。
合流し、2人で生徒玄関まで向かう。
お互い靴を履き終えたあと、また合流し、いつもの帰り道を通る。
『あ、そういえばさ、Aが樹音に怒られないか心配してたんだよ』
「A？……ああ、昨日一緒に帰ってた子？」
『そ』
「へぇ。興味無いや」
『えー？怒られるかも〜って心配してる顔可愛かったな〜。あーもう1回みたい』
あの顔が見れてない俺以外の人類が可哀想なくらいだ。
俺以外見なくていいんだけど。
「壮大の方が可愛いと思うけど」
とそっぽ向きながら言う樹音。
『何言ってんだよ。ぜーったいAのが可愛』
と言う俺の言葉を遮るかのように、樹音が歩く足を止めた。
どうした？
…もしかして、Aのこと気になったとかは………
「あのさ、俺の前でそいつの名前出すのやめてくんない？」
想像していたセリフなんかより、寧ろ真逆なセリフが返ってきて、動揺を隠せない。
『……ぇ………何で？』
「……イライラする」
…また怒らせちゃった？
樹音になら言ってもいいって思ってたから言ったんだけど、樹音にも嫌なことと良いことあるよな。
…でもこれの何が樹音の嫌なことなんだ？
わからない。
でも、樹音を悪い気にさせちゃったんなら、それはごめんだ。
『…ごめん、気を付ける』
「うん。
ねえ壮大、今度一緒に俺ん家で遊ぼうよ」
『え、樹音ん家行っていいのマジ！？全然行く！』
「決まりね。今週末空けといてね」
『おっけー空けとく』
恋愛の話、樹音にしかしてなかったから、ちょっと残念だな。
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作者名：鯖の味噌煮ちゃん | 作成日時：2024年3月3日 22時
