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ーー
「俺、好きな人いるんだ」
『え？』
急に開かれたその口から発せられたセリフは、俺が最も望まないセリフだった。
『……誰？教えてよ』
「えー……じゃあ絶対誰にも言うなよ？絶対な！
＿＿4組の、Aって子」
｢高一の時に同クラだったんだよ｣と後付けされる。
ああ、その女か。
そう思った。
高一の時から仲良くしているなとは思っていた。が、まさか好きになるだなんて。
こんな事になるなら早めに阻止しておくべきだった。俺の考えが甘かったんだ。
ソウタは、俺のなのに。
俺以外を見てるソウタなんて、嫌だ。
『…その子のどこが好きなの？』
「えーもう全部！意外と照れ屋なのも可愛いんだよな」
照れ屋、か。
壮大はそんな子が好きなのか。
じゃあ俺が照れ屋で可愛かったら好かれてたのか？
違うだろう。
その子だから、照れ屋でも好きなのだろう。
そんな事考えたって何にもならないのに、そんな事ばかり考えてしまう。
「……樹音？」
そう可愛い声で言われ、我に返る。
こうやってまた笑顔を振りまくんだ。
『ん、？』
「いや、なんか暗かったからさ…
……何かあった？」
優しい壮大はそう聞いてくれるが、その暗くなってしまった理由が自分だとは思いもしないのだろう。
俺が壮大のことが自分でも怖いくらいに大好きなことに気付いて居ないのだから。
『ううん、別に何も。
いいじゃん、好きな子？
応援してるよ、俺。』
「マジ！？やっぱJに言ってよかった〜！Jならそう言ってくれるって信じてた！」
応援してるだなんて、そんなの嫌われないための嘘に決まってるのに。
好きな人を奪われそうな今、応援するわけが無いだろう？
「あ、これ樹音にしか言ってないから、他の誰にも言うなよ？」
俺にしか言ってないという言葉の重さに、もう少し気付いたらどうなんだと思う。
が、まぁ、嬉しい。
それくらい俺が信用されているという事だろう。
＿＿じゃあその信用を仇にして、毒として返してあげる。
＿＿俺の壮大
＿＿一番、俺がお前を知ってるんだから。
.
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作者名：鯖の味噌煮ちゃん | 作成日時：2024年3月3日 22時
