93話 アイドル ページ3
雅紀side
2006年12月9日
ニノの出演したハリウッド映画
”硫黄島からの手紙”が日本で公開された。
俺達が想像していたよりも反響があり、アカデミー賞ノミネートされるかも、という噂もあった。
そんな大作に、メンバーであるニノが出演してると思うとすごいことだなって改めて思った。
もちろん俺も見に行った。
ニノが初めて主演した蜷川さんの映画、”青の炎”以来3年。
ニノの芝居には毎回圧倒されていた。
雅紀「ニノー！映画見たよ！
俺泣いちゃった！」
楽屋で当の本人に声をかける。
潤「お！俺も昨日見てきたよ！
最高だった！」
メンバーも口々に言う。
ニノは褒められるのが照れくさいのか、耳が赤くなっているのがわかった。
そんな時、たまたまかかっていたニュースでニノの映画のことがやっていた。
智「あ、ニノだ〜」
和也「あ、ちょっといいよ！恥ずかしいから！」
ニノには止められたけど、俺たちはテレビに釘付け。
ニノはよっぽど恥ずかしいのか、楽屋を出ていってしまった。
画面の向こうのニノは、クリント・イーストウッド監督と共に並んで、
背は小さいのに、彼の大きさが伝わった。
こんな大きなところで活躍して、堂々と立ってて
本当に彼はこのまま”嵐”にいていいのか、そう思っていた矢先…
たくさんの外国人記者の前で彼はこう言ったんだ。
” 僕は俳優ではございません。
日本では5人で歌って踊っているアイドルです”
このニノの言葉に俺たちはポカーンと口を開けた。
” 俳優ではなくてアイドル ”
彼は真っ直ぐな目で、そう言ったんだ。
この瞬間、彼の思いが痛いほど伝わってきた。
アイドルに誇りを持っていて、嵐を大切にしてくれている。
どんなに俳優として褒められたって
自分はアイドル
その意思をしっかり持っていて…
俺は今までの不安なんて嘘のように、心の中はすごく温かくなった。
翔「俺たちもこの仕事を誇りに思って頑張るしかないな。」
翔ちゃんの言葉に全員が頷いた。
ああ…
本当にニノは嵐のこと好きなんだな。
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作者名：haru | 作成日時：2018年11月13日 17時
