103話 涙 ページ13
智side
いつもなら、
コンサートが終わったら、達成感とか、感動とか、いろいろな感情がある。
いつもなら、
メンバー皆笑顔で楽屋にいる。
それなのに今日は…
泣いている人やら、怒っている人やら
悲しそうな表情をする人だっていた。
俺自身も、怒りでいっぱいだった。
潤「ニノ、大丈夫だったか？
ごめんな…」
和也「全然大丈夫だよ。
かすっただけだし。
潤くんが怪我しなくてよかった。」
悲しい顔をする松潤。
そして苛立ちを隠せない翔くん。
無理して笑っているニノ。
泣いている相葉ちゃん。
こんな表情のメンバーを見るのは初めてだった。
俺は拳を握りしめる。
変なうちわを持っていた人も
相葉ちゃんにペンライトを投げつけてきた人も
松潤にナイフを投げてきた人も
みんな嫌いだ。
敵なんていないと思っていたコンサートで、初めての出来事。
あとからスタッフさんに聞いた。
その人たちは、他のグループのファンで、嵐が人気になりだしたからって
嫌がらせをしにきたって。
嵐を潰そうとしてきたって。
そのことを聞いて俺は涙が出てきた。
こんなことになる為に頑張ってきた訳じゃない。
5人でただ、嵐が人気になって今まで支えてくれた人たちに恩返ししようって…
ファンの人たちに嵐を好きなってよかったと思ってもらえるようにしようって…
ひたすらに頑張ってきただけなのに…
無力だった。
リーダーなのに
今、メンバーになんて声をかけていいのかわからなかった。
俺はただ震える拳を握りしめるしかなかった。
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作者名：haru | 作成日時：2018年11月13日 17時
