だいっきらい ページ11
翔side
翔「…」
家に着くと俺は無言で自分の部屋へ向かい、ベッドへ潜り込んだ。
なんか久しぶりにドキドキしたなぁ。
喧嘩をした訳じゃないのに、スッキリしたというか。
高校でも居場所が出来るなんて思ってもみなかった。
ちょっとだけ嬉しかったんだ。
コンコン
ドキッ…
突然、扉がノックされた。
「帰ったなら顔くらい出しなさい。
お父さんが帰ってるわよ。
こないだのテストの報告しなさいよ。」
翔「……わかった。」
母親だった。
親父が帰ってる…
俺は重たい腰をゆっくり起こした。
俺は親父たちがいるリビングの扉を開けた。
翔父「…テスト、どうだった？」
ソファーに座り、低い声でそう言った親父。
1ヶ月ぶりに帰ってきて、第一声がこれ。
翔「……これ。」
俺は親父の前の椅子に座り、テスト結果の紙を渡した。
翔父「…お前はまだこんな点数をとってるのか？
恥ずかしくないのか？
大体お前は中学の頃、遊んでばっかりで、俺の言うことなんて一切聞かないからこうなるんだ。」
俺は親父の話をただただ聞いていた。
昔からずっとこうだ。
親父は弁護士。
母親は看護師。
兄貴は東大に通っている。
こんな家庭だ。当たり前なのかもしれない。
勉強勉強…
ちょっと外で友達と遊んだだけで、殴られて怒鳴られた。
親父のあやつり人形のようだった…。
翔母「いっつも遅くまでほっつき歩いてるものね。
また変な子とつるんでるんじゃないの？」
母親だって庇ってくれる訳ではない。
兄貴と比べて、グチグチと文句を言ってきたり、普通に晩飯抜きにされたり、無視もされた。
「ただいまー。
あ、父さん帰ってきたんだ。
おかえりなさい。」
兄貴が帰ってきた。
俺の大嫌いな奴。
兄貴は見下すように俺を見る。
その目がだいっきらい。
翔父「おかえり、奏多。
お前、この前も学年トップの成績だったらしいな。」
翔兄「当たり前だよ。
翔みたいに落ちこぼれじゃないからね。」
俺は拳を握り締め、リビングを出て行った。
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作者名：haru | 作成日時：2020年8月31日 13時
