特別な存在 ページ2
雅紀side
自分だけなら、我慢すればいいと思っていた。
でも、自分のせいでニノまで傷つけられていたことを知って、俺は体が震え上がった。
ずっと俺の傍にいてくれたニノが…
山田に俺と同じようなことをされていたなんて…
俺たちは学校に戻り、ニノたちのいる屋上に向かった。
雅紀「ニノ…ごめん」
俺はニノたちに全てを話した。
昨日、山田に襲われたこと。
ニノがいじめられていたことを知ったこと。
ニノは俺の話を聞くと、大きな目を開けて驚いていた。
でも…
和也「…俺は、クラスも違ったし、相葉さんほど酷いいじめは受けていない。」
そう言って、平気なフリをする。
いつもそう。
ニノは絶対俺に、弱いところを見せない。
雅紀「…だとしても、ニノだって友達が多い訳じゃないし、誰にも言わなかったんでしょ？
でも多分、俺がいたとしても絶対言ってくれない。」
俺はいつもニノに助けられていた。
クラスは違ったし、話すのは登下校の時だけ。
でもその時間が、俺にとっては1番大好きだった。
俺はニノに頭を下げた。
雅紀「…ごめん
本当にごめん、ニノ…
俺のせいで、辛い目に遭わせちゃった…」
何も知らなかったとはいえ、もう少し、ニノに目を向けておけば気づけたかもしれないのに…。
ニノの少しの異変に気づいて、ほんのちょっとでも、ニノを救えたかもしれないのに…
和也「やめてよ…」
いくら謝ったところで、あの日が返ってくる訳じゃないのに
自分だけじゃなくて、ニノの大切な中学生時代も奪われてしまった。
だったら、これからの高校生時代を、大切な思い出にしたい。
あの時は2人だけだったけど
今は…
俺は3人に目を向けた。
雅紀「…みんな、
俺たちを…助けてほしい…」
あの時、この言葉を誰かに言えてたら
何かが変わったのかもしれない。
本当は、最初、誰でもいいから友達をたくさん作りたいって思って、声をかけ続けてた。
ただ、友達でいてくれるだけでよかった。
一緒に遊んだり、くだらないことで笑い合ったり、
それだけでよかった。
でもこの4人は今、俺にとってただの友達よりも特別な存在になりつつあったんだ。
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作者名：haru | 作成日時：2020年8月31日 13時
