仲間はいらない ページ29
潤side
俺だって強い訳じゃない…
自分で言った言葉が頭を駆け巡っていた。
潤「はぁ…余計なこと言っちまったな…」
帰り道、俺はコンビニに寄って肉まんを買った。
別に…
強い訳じゃないんだ…
あいつを助けたのは、ただ俺が正義感が強いだけだから。
いや…違うか…
俺は偽善者だから。
どこにでも正義感を振舞って、
助けたフリをして
そして裏切って
…もう、俺に仲間は作れない。
いや…
作っちゃいけないんだ…。
「こんなとこで何してんの？」
突然声をかけられ、肉まんを落としそうになる。
潤「…またお前かよ。」
声のする方に振り向くと、案の定、櫻井翔がいた。
翔「たまたま帰る方向が一緒だったんだよ。」
潤「…だったら話しかけなきゃいいだろ？
ほっとけよ。」
俺は立ち上がって彼と反対方向に歩き出す。
翔「いや、とりあえず今日のお礼をしとこうと思ってな。
雅紀、危なかったんだろ？」
櫻井は俺の肩を掴み、ゆっくり座らせた。
そしてその隣に自分が座る。
潤「…友達気取りかよ。
もうそんな仲良くなったんだ。」
俺は煽るように言ったけど、櫻井は全く動じず、むしろ俺の言葉を無視して言った。
翔「まあ、簡単に言やあいつ、いじめられてたんだろうな。」
潤「…いじめは俺が一番嫌いなことだよ。
気に食わねぇから邪魔しただけ。」
俺はタバコを手にする。
翔「…お前タバコはやめとけよ。
バレたらまずいだろ？」
潤「…今日くらいいいだろ。
お前のダチ助けてやったんだから。
ほっとけよ。」
翔「…お前が敢えて友達を作らないって気持ちもわかるけど、
あいつら、悪い奴じゃないよ。」
櫻井は俺に手を差し出す。
潤「…？なんだよ。」
翔「タバコ。
くれよ。」
…意味わかんねぇ。
俺は1本取り出し、櫻井に渡した。
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作者名：haru | 作成日時：2020年7月12日 20時
